WRCポルトガル:トヨタは今季初めて、セバスチャン・オジエ、カッレ・ロバンペラを揃えての4台体制 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

WRCポルトガル:トヨタは今季初めて、セバスチャン・オジエ、カッレ・ロバンペラを揃えての4台体制

©TOYOTA

トヨタ・ガズーレーシングWRTは、5月9日から12日にかけてポルトガル北部のマトジニョスを拠点に開催される2024年WRC第5戦ラリーポルトガル(グラベル)に、レギュラークルーのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン、勝田貴元/アーロン・ジョンストンに加え、セバスチャン・オジエ/バンサン・ランデ、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンとWRCチャンピオンドライバーふたりを加えた4台のトヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッドのクルーとしてエントリーさせる。首位に立つマニュファクチャラーズ選手権のポイント対象には、エバンス、オジエ、ロバンペラをノミネート。勝田は今季初めて、ポイント対象外での参戦となるが、得意とするポルトガルで自身初の優勝を目指す。

またWRC2部門には、TGR WRCチャレンジプログラムの小暮ひかると山本雄紀を含め、計8台のトヨタGRヤリス・ラリー2がエントリーしている。
(以下チームリリース)


WRC 第5戦 ラリー・ポルトガル プレビュー
ヨーロッパでは今シーズン初となるグラベルラリーに
ロバンペラ、エバンス、オジエ、勝田の4台体制で挑む

TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは、5月9日(木)から12日(日)にかけて、ポルトガル北部で開催される、2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第5戦「ラリー・ポルトガル」に、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)の4台のGR YARIS Rally1 HYBRIDで参戦。このラリーでの5大会連続優勝と、シーズン3勝目を目指します。

TGR-WRTにとって、ラリー・ポルトガルはフルメンバーで臨む2024年最初のラリーとなります。前戦の第4戦クロアチア・ラリーまでは、二年連続王者ロバンペラと、オジエの出場イベントが重なることはありませんでしたが、今回のポルトガルには彼ら新旧世界王者ふたりが揃って参戦。シーズンフル出場のエバンスと共に、マニュファクチャラー選手権ポイント獲得ドライバーとしてラリー・ポルトガルに挑みます。今年の第3戦サファリ・ラリー・ケニアで優勝したロバンペラは2022、2023年と2年連続でラリー・ポルトガルを制しており、現在ドライバー選手権でトップと僅か6ポイント差の2位につけるエバンスは、2021年大会のウイナーです。TGR-WRTとしては、WRCのカレンダーに含まれなかった2020年を除き、2019年から4大会連続で勝利を収めるなど、ポルトガルは非常に相性の良いラリーのひとつです。また、前戦クロアチア・ラリーで優勝したオジエは、TGR-WRT加入以前に通算5勝を獲得するなど、やはりラリー・ポルトガルを得意としています。チームとしては、ポルトガルでの優勝経験がある3人のドライバーが揃うことで、現在7ポイント差でトップに立っているマニュファクチャラー選手権におけるリードを、さらに拡げることを目指します。なお、今シーズン初めてマニュファクチャラー選手権ポイント獲得ドライバーではない立場で出場する勝田も、2022年の大会では表彰台争いに加わるなど、これまでポルトガルで速さを示してきました。

ラリー・ポルトガルは、9月末の第11戦ラリー・チリまで7戦続くグラベル(未舗装路)ラリー連戦の、最初の1戦となり、チームとドライバーはしばらく集中的にグラベルラリーに取り組むことになります。1973年のWRC初年度からシリーズに含まれてきた、クラシックイベントのひとつであるラリー・ポルトガルは、流れるようなコーナーが連続するハイスピードなステージと、非常に荒れた路面が続くチャレンジングなステージの両方を含みます。ステージの路面は、1回目の走行時と2回目の走行時でコンディションが大きく変わることが大きな特徴です。1回目の走行では路面は砂に覆われているため全体的に軟らかめですが、2回目の走行時は砂が掃けて下から石や岩盤が露出するため、タイヤやサスペンションに大きな負荷がかかります。また、路面が掘れて深い轍が刻まれるステージもあります。

ラリーの中心となるサービスパークは、今年もポルトガル北部の大都市ポルト近郊の町「マトジニョス」に置かれ、その南側に位置する古都コインブラで9日(木)の夕方にセレモニアルスタートが行われます。その後、午後7時過ぎから大西洋に面するリゾート地「フィゲイラ・ダ・フォス」に移動。SS1として2.94kmのスーパーSSが1本行われ、戦いの火蓋が切って落とされます。本格的な戦いは10日(金)のデイ2から始まり、コインブラの東側エリアで「モルターグア」「ロウザン」「ゴーイス」「アルガニル」という4本のステージを各2回走行。デイ2はミッドデイサービスが設定されず、アルガニルの町で日中に行われる「タイヤフィッティングゾーン」での簡便な整備作業のみで8本合計126.90kmのステージを走りきらなければなりません。11日(土)のデイ3は、サービスパークの東北エリアに広がるカブレイラ山脈の周辺で「フェルゲイラス」「モンティム」「アマランテ」「パレーデス」という4本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。全長37.24km のアマランテは、今年もラリー・ポルトガル最長のステージであり、ここまでのところ今シーズン最長のステージとなります。その後、「ロウサダ」のラリークロスサーキットで名物のスーパーSSが行われデイ3は終了。9本のステージの合計距離は145.02kmと4日間で最長の一日となります。12日(日)の最終日デイ4は「カベセイラス・デ・バスト」と、大ジャンプで人気の「ファフェ」の2本のステージを、ミッドデイサービスなく各2回走行。最終ステージとなるSS22ファフェ2は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスの選手権ポイントが付与される「パワーステージ」に指定されています。ラリーは4日間で22本のSSを走行し、その合計距離は337.04km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1690.12kmとなります。

なお、今回のラリー・ポルトガルでは、今シーズン最多となる8台のGR Yaris Rally2が、サポート選手権のWRC2に挑みます。既に今季出場経験のあるサミ・パヤリ(プリントスポーツ)、ゲオルグ・リンナマエ(レッドグレイ・チーム)、ローペ・コルホネン(ラウティオ・モータースポーツ)、ヤン・ソランス(テオ・マーティン・モータースポーツ)、そしてTGR WRCチャレンジプログラムの小暮ひかると山本雄紀に加え、新たにルイス・ベイツ(ニール・ベイツ・モータースポーツ)と、ジャン-ミッシェル・ラウー(EレースWRT)がGR Yaris Rally2のステアリングを握ります。

ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
今回のポルトガルで、4人のドライバーが全員揃うのは素晴らしいことです。今年は少なくともどこか一戦で全員揃って戦いたいと思っていましたが、今回はそのいい機会でした。新しいポイントシステムが導入されたことによって、マニュファクチャラー選手権で大きな差をつけることは、ここまでのところ難しい状況でした。ポルトガルでは、過去に優勝経験がある3人に加え、やはり非常に速いドライバーである貴元も参戦するので、強力なラインナップといえます。カッレはここ2年、ポルトガルで大きな成功を収めていますし、セブは過去5回も優勝しています。出走順によりエルフィンにとっては厳しい戦いになるかもしれませんが、彼は選手権を争うライバルたちよりもできる限り多くのポイントを獲得することに集中し続ける必要があります。貴元も非常にいい走りを見せていますし、表彰台を狙える力を備えています。それでもきっと激しい戦いになるでしょうし、ポルトガルでも上位を巡る僅差の戦いが繰り広げられると確信しています。

カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)
大好きなラリー、ポルトガルをとても楽しみにしています。ファンがとても多く雰囲気も素晴らしい上、ステージのキャラクターもナイスです。この2年間、ポルトガルでは素晴らしい成功を収めてきたので、自分と相性がとてもいいラリーだと思っています。もちろん、今年も目標は優勝ですが、決して簡単なことではありません。トップドライバーたちはみんなステージを熟知しているので、通常ペースは非常に速く、かなりの接戦になるかもしれません。自分たちの出走順は有利に働くと思いますが、雨が降ると状況が大きく変わる可能性があるので、天気がどうなるのか注視する必要があります。

エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)
次々とラリーが続く、シーズンの忙しい時期に突入し、この後しばらく続くグラベルに焦点を移して取り組むことになります。ポルトガルはハイスピードで流れるようなコーナーが続くセクションもあり、とてもいいラリーになるはずですが、最近は路面が荒れやすく、特に金曜日に走行する南側のクラシックなステージの何本かは難しくなっています。他のグラベルラリーと同じように、今回も出走順が大きなファクターになると思いますが、このラリーは天候にも大きく左右されます。ですので、その時々のコンディションでベストな仕事をすることに集中し、最大限の成果を得られるように努力するのみです。

セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)
1年ぶりにポルトガルに戻ることになり、わくわくしています。ポルトガルにはいい思い出がたくさんありますが、ラリーが北部ではなく南部で開催されていた時のほうが、より多くの良い思い出があるかもしれません。とはいえ、ポルトガルの雰囲気はいつだって素晴らしいので、今回も楽しみです。このラリーでは通常、今回の自分たちの出走順が不利になることはありませんし、もしかしたら有利に働くかもしれませんが、時々強い雨が降ることもあるので、そう言い切るにはまだ早すぎます。グラベルラリーに出場するのは久しぶりですが、先週は満足のいくテストができたので、ラリー本番が楽しみです。

勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)
これから数戦続くグラベルラリーを楽しみにしていますし、自分にとって良いイベントになるという自信もあります。特にポルトガルは好きなラリーですし、ステージもよく知っています。また、自分たちのクルマもきっと高い競争力を発揮してくれるはずです。このラリーは、多くのジャンプで知られるファフェのような有名なステージもありますが、石が多く転がる非常にラフなステージもあり、特に金曜日のステージはかなり荒れています。それでも、調子が良いようであれば、できる限りプッシュするつもりです。今回はマニュファクチャラー選手権ポイント獲得ドライバーではなく、その点に関してはプレッシャーを感じなくて良いので、ただ速く走り、ベストを尽くすことだけに集中することができます。



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