WRCクロアチア: トヨタはセバスチャン・オジエとエルフィン・エバンスが1‐2フィニッシュ、勝田貴元がスーパーサンデートップ – RALLYPLUS.NET ラリープラス

WRCクロアチア: トヨタはセバスチャン・オジエとエルフィン・エバンスが1‐2フィニッシュ、勝田貴元がスーパーサンデートップ

©TOYOTA GAZOO Racing WRT

トヨタ・ガズーレーシングWRTは、4月21日にクロアチアの首都ザグレブ周辺で行われた2024年WRC第4戦クロアチアラリー(ターマック)最終日の競技を終え、3台目のトヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッドをドライブするセバスチャン・オジエ/バンサン・ランデが逆転優勝。エルフィン・エバンス/スコット・マーティンが2位に続き、トヨタはクロアチア4連覇を1‐2フィニッシュで飾った。勝田貴元/アーロン・ジョンストンは総合5位となったが、日曜日単独のリザルトではトップにつけた。

またWRCチャレンジプログラムの2期生でトヨタGRヤリス・ラリー2でWRC2部門に参戦した山本雄紀は部門11位、小暮ひかるは12位で完走している。
(以下チームリリース)


WRC 第4戦 クロアチア・ラリー デイ3
大波乱のクロアチア・ラリー最終日、オジエが今季初勝利を獲得
エバンスは総合2位、総合5位の勝田はスーパーサンデーを制す

4月21日(日)、2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第4戦クロアチア・ラリーの最終日デイ3が、クロアチアの首都ザグレブのサービスパークを起点に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)が優勝。エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)が総合2位を獲得し、チームは前戦のサファリ・ラリー・ケニアに続き1-2フィニッシュを飾りました。また、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は前日よりも順位をひとつ上げ、総合5位でラリーを終えました。

TOYOTA GAZOO Racing WRT

クロアチア・ラリーの最終日は、サービスパークを起点に、ザグレブの北側エリアで2本のステージを各2回走行。4本のステージの合計距離は54.78kmでした。日曜日は朝から爽やかな青空が広がり、路面コンディションはドライ。降雨の可能性はほぼなく、ラリー1はいずれもスペアタイヤとしてウェットタイヤを搭載することなく早朝サービスパークを出発しました。ただし、一日を通して履き続けることになるドライタイヤに関してはチョイスが分かれ、ハードタイヤとソフトタイヤの装着比率はドライバーごとに異なりました。

前日のデイ2終了時点で、首位ティエリー・ヌービル(ヒョンデ)と総合2位エバンスの差は4.9秒。総合3位のオジエはヌービルと11.6秒差につけていました。朝7時過ぎから始まったオープニングのSS17では、前日総合6位の勝田がこの大会初のベストタイムを記録。3番手タイムのエバンスは、首位ヌービルとのタイム差を2.6秒に縮めました。続くSS18では多くのドラマが起こり、エバンスがスピンを喫しタイムロス。首位ヌービルもコースオフにより多くのタイムを失いました。その結果、このステージで3番手タイムだったオジエが二人を抜かし、一気に首位に浮上。9.1秒差で総合2位エバンス、10.2秒差で総合3位ヌービルと、順位が大きく入れ替わりました。また、総合5位につけていたアドリアン・フォルモー(Mスポーツ・フォード)が足まわりにダメージを負ってステージ上で長時間ストップしたことにより、2番手タイムを刻んだ勝田は総合5位に順位を上げました。

SS17の再走ステージであるSS19では、勝田が再びベストタイムを記録。エバンスが2番手タイム、オジエが4番手タイムでふたりの差は6.4秒と、僅かに縮まりました。そして迎えた最終のパワーステージで、オジエは3番手タイムを記録。5番手タイムだったエバンスとの差を9.7秒に拡げ、昨年の第7戦サファリ・ラリー・ケニア以来となる優勝を飾りました。オジエにとってはWRC通算59勝目、そして100回目のポディウムフィニッシとなりました。また、チームはクロアチア・ラリーで負けなしの4連覇を達成しました。

総合2位を獲得し、パワーステージでは5番手だったエバンスは、ドライバー選手権2位の座を維持。TGR-WRTはマニュファクチャラー選手権トップを守り、リードを7ポイントに拡大しました。また、勝田はパワーステージで4番手タイムを記録し、日曜日だけの合計タイムで競われる「スーパーサンデー」を初制覇。総合では5位でラリーを終えました。

なお、プリント・スポーツからGR Yaris Rally2で出場したサミ・パヤリは、Rally2カテゴリー3位を獲得。総合でも10位に入りました。また、TGR WRCチャレンジプログラムからGR Yaris Rally2で出場した山本雄紀はWRC 2クラス11位、小暮ひかるは12位で完走し、貴重な経験を積みました。

ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
最終的には素晴らしい結果を得ることができましたし、我々チームにとっては信じられないような展開のラリーでした。ヌービルが強力だったので、土曜日を終えた時点では勝てるかどうか分かりませんでした。しかし、今朝最初のステージでのエルフィンのアタックによって、少し希望を持つことができました。その後、ティエリーとエルフィンが二人ともタイムを失ってしまったのは、我々が望んでいたことではありません。しかし、それによってセブが突然トップに立ち、勝利を手にすることができたのです。とてもドラマチックな展開でしたが、これがラリーなのです。そして、実際にフィニッシュラインを通過するまでは、何ひとつ保証されていないことが証明されました。表彰台をめぐる接戦が最終日まで繰り広げられたことは、このスポーツの素晴らしさを物語るものです。今回はセブにとって100回目の表彰台でしたが、それは信じ難い数字です。ほぼ3ヵ月ぶりのWRC出場で優勝まで飾ったことからも、彼が8回世界チャンピオンに輝いた理由がよく分かりますし、セブが我々のチームの一員であることは素晴らしいことです。

エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)
今日は残念な気分です。今朝最初のステージではいいスタートを切りましたが、タイヤチョイスに関してはやや楽観的過ぎました。ハードタイヤを選んだことにより、2本目のステージでは苦戦を強いられました。自分がスピンをしたコーナーは大量の泥に覆われていて、クルマのリヤが回り込んでしまったのです。リスクを冒さずして勝利を得ることはできませんが、今日は上手く行きませんでした。それでも、この週末は最初から最後まで激しい戦いが続き、最終的には2位を獲得することができたので、全体的にはそこそこ良かったのではないかと思います。チームとしては素晴らしいリザルトですし、セブとバトルを楽しむこともできました。1-2フィニッシュを達成したことを考えると、チームがその結果に値する十分なポイントを獲得できたとは思えませんが、きっとそういうものなのでしょう。

TOYOTA GAZOO Racing WRT

セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)
優勝することができて、とても嬉しく思います。自分たちの出走順を考えればタフな週末になることは分かっていましたが、それでも全力で攻め続けましたし、決して諦めず、できる限りプレッシャーをかけようとしていました。1回のラリーでこれほど限界に挑み、危ない瞬間を経験したのは初めてです。しかし、重要なのは無事に走り切り、勝利を手にすることができたことです。100回目の表彰台獲得というのはいい数字ですし、優勝でそれを達成できたのは素晴らしいことです。このようなクルマをドライブするたびに楽しみを感じていますし、まだ自分たちに速さがあることを確認できて嬉しかったです。それほど多くポイント差をつけることはできませんでしたが、チームとしては本当に良かったと思います。チームとして素晴らしいパフォーマンスを発揮できたので、この調子でプッシュし続けたいと思います。

勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)
どんどんと自信をつけていくことができたので、自分にとっては良い週末だったと思います。土曜日の時点でも良い感触を得られたステージがあったので、同じように走り続けようと試みたところ、クルマのフィーリングはさらに良くなりました。今日はパワーステージで少し慎重になり過ぎてしまったのが少し残念でしたが、それ以外は全てうまく行きました。スーパーサンデーでは最速となり、チームに多くのポイントをもたらすことができて本当に嬉しかったですし、チームとしても全体的に良い結果になりました。次回は序盤からもっといい走りをしたいですし、そうすればさらにいい結果を残すことができるはずですが、全体的にはいい週末だったと思います。

TOYOTA GAZOO Racing WRT

クロアチア・ラリーの結果
1 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) 2h40m23.6s
2 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +9.7s
3 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +45.8s
4 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +58.6s
5 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1m55.5s
6 アンドレアス・ミケルセン/トシュテン・エリクソン (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +4m01.0s
7 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1 HYBRID) +5m11.0s
8 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (シトロエン C3 Rally2) +9m21.3s
9 ヨアン・ロッセル/アルノー・デュナン (シトロエン C3 Rally2) +9m59.5s
10サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン (トヨタ GR Yaris Rally2) +10m22.7s
(現地時間4月21日18時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)

第4戦終了時点でのドライバー選手権順位
1 ティエリー・ヌービル 86ポイント
2 エルフィン・エバンス 80ポイント
3 アドリアン・フォルモ− 59ポイント
4 オィット・タナック 53ポイント
5 セバスチャン・オジエ 45ポイント
6 勝田 貴元 45ポイント
7 カッレ・ロバンペラ 31ポイント
8 エサペッカ・ラッピ 23ポイント
9 アンドレアス・ミケルセン 14ポイント
10 オリバー・ソルベルグ 12ポイント

第4戦終了時点でのマニュファクチャラー選手権順位
1 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 176ポイント
2 Hyundai Shell Mobis World Rally Team 169ポイント
3 M-Sport Ford World Rally Team 96ポイント

次回のイベント情報
WRC次戦は、5月9日から12日にかけて、ポルトガル北部のマトジニョスを中心に開催される第5戦「ラリー・ポルトガル」です。ポルトガルは今季ヨーロッパでの初グラベル(未舗装路)ラリーとなり、出走順がタイムに少なからず影響を及ぼすイベントです。また、ステージを1回目に走行する際、路面は砂利や砂に覆われていますが、2回目の走行では砂が掃けて下から硬い岩盤や石が現れるなど、路面のコンディションが1回目と2回目で大きく変化するのが特徴です。



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