ダカール2024:大会初の48時間ステージで波乱、カルロス・サインツが首位奪還の一方でナッサー・アル‐アティヤの3連覇は絶望的 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
現地速報がすぐわかる! バックナンバーが読み放題。ラリプラLINE限定コンテンツ配信中

ダカール2024:大会初の48時間ステージで波乱、カルロス・サインツが首位奪還の一方でナッサー・アル‐アティヤの3連覇は絶望的

©Red Bull

ダカール2024は1月11日〜12日、サウジアラビアのシュバイタ〜シュバイタ間に設定された大会史上初の試みとなる48時間ステージ、547kmを走行。上位陣に波乱が起こるなか、ベテラン勢が貫禄のパフォーマンスを披露。カルロス・サインツ(アウディRS Q e-tron E2)はこのステージをセカンドベストタイムでまとめ、総合首位の座を奪還した。

エンプティ・クオーターの砂漠に広がる過酷な砂丘を、2日間かけて500km以上走り抜くという厳しいチャレンジとなったステージ6。クルーは、11日の夜は分散して砂丘のビバークで一夜を明かした。

この新しい試練で豊富な経験を活かした61歳のサインツは、ステージ5を抑えてステージ6のスタート順を17番目に遅らせる戦略を採り、首位から11分31秒遅れの総合3番手でこのステージを迎えた。
「まだ先は長いが、今は満足している。みんなにとって非常に難しいコースだった、ステージは体力的にも走るのがチャレンジングだった」とサインツ。これでチーム・アウディ・スポーツのチームメイト、マティアス・エクストロームに20分差をつけて首位に返り咲いた。

A.S.O.

同様に戦略的なアプローチでステージ6を攻略したのがセバスチャン・ローブ(プロドライブ・ハンター)。ダカールでの25回目のステージウインをマークし、ステージ勝利数では増岡浩と並んで史上6番目の記録を作った。
「自分たちにとってはいいステージだった。スタート順が35番目で、フィニッシュラインは7番目に越えた。このステージに対しての計画どおりだったが、うまくいって良かった」とローブ。

Red Bull

一方、11日は首位につけていたヤジード・アル-ラジ(トヨタ・ハイラックス・オーバードライブ)が転倒するという衝撃なニュースが入ってきた。さらに12日は、ダカール2連覇中のナッサー・アル‐アティヤ(プロドライブ・ハンター)がステアリングアームを破損し、大幅に後退。これで大会3連覇は絶望的となったが、シリーズ2連覇中の世界ラリーレイド選手権のポイント獲得を目指しながら、必要時には同じマシンを駆るローブの支援にも回る。
「まだすべて終わったわけではないが、ここからは世界選手権の争いに専念する。また、セブの支援のために彼の後方をキープする。少なくとも、彼にはまだ優勝のチャンスが残っているからね。僕らはチームなので、彼が勝てるように自分も全力を尽くす」とアル‐アティヤ。

TGRのルーカス・モラエスとジニール・ドゥビリエ(トヨタGRダカールハイラックスEVO T1U)、オーバードライブ・レーシングのギヨーム・ド・メビウス(ハイラックス・オーバードライブ)も、後半で総合ポディウムを狙う可能性を残して、休息日のビバークとなるリヤドに到着した。
「一週目の内容にはとても満足。ステージウインを獲ったのは、本当に特別な瞬間だった。これで48時間ステージを走り切った。トリッキーで、ずっと砂丘を走っていたので、平均速度はすごく低かった」とモラエス。

Red Bull

ダカールの一団は13日はリヤドで休息日を迎え、14日からの競技後半に備える。この日は、リヤド〜アル・デュワジミ間に483kmが設定されている。

ダカール2024 カー部門 暫定結果(ステージ6終了時点)
1 C.サインツ(アウディRS Q e-tron E2) 24:59:32
2 M.エクストローム(アウディRS Q e-tron E2) +20:21
3 S.ローブ(プロドライブ・ハンター) +29:31
4 L.モラエス(トヨタGRダカールハイラックスEVO T1U) +1:04:00
5 G.ド・メビウス(トヨタ・ハイラックス・オーバードライブ) +1:09:47
6 G.ドゥビリエ(トヨタGRダカールハイラックスEVO T1U) +1:25:16
7 M.プロコップ(フォード・ラプター) +1:35:04
8 G.ボッテリル(トヨタGRダカールハイラックスEVO T1U) +1:49:31

ランドクルーザー300GRスポーツで市販車部門を戦うチームランドクルーザー・トヨタオートボデーは、500号車の三浦昂が過酷なステージ6を部門トップでフィニッシュ。一方、501号車のロナルド・バソはステージ走行中に日没を迎えたため、夜間の砂丘走行を避けて待機を決断。日の出を待って競技を再開する予定としている。
「過去に経験のない難しいステージで驚いた。クルマも自分自身もこれまで準備してきたものをすべて出し尽くし、それでも“しんどい”と思った。それだけにゴールできた時はすごくうれしかったが、まだ前半戦が終わったところ。後半戦も頑張りたい」と三浦。

HINO600シリーズで参戦する日野チームスガワラは、砂丘越えが得意な菅原照仁が好走を披露。12日は燃料トラブルに見舞われ遅れも喫したが、トラブル解消後には再びペースを上げてステージをフィニッシュした。主催者の計時にトラブルがあり、現時点で順位は出ていない。
「大変難しい砂丘ステージだった、自分たちにとっては余裕があり、調子よく走れた。それだけに燃料漏れのトラブルは残念」と菅原はこの日のステージを振り返っている。

RALLY CARS