<WRC復帰記念>トヨタ不在時代を振り返る(1)WRCでの戦績 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

<WRC復帰記念>トヨタ不在時代を振り返る(1)WRCでの戦績

トヨタ・セリカGT-FOUR ST185

©TOYOTA

WRCファンの皆様、新年あけましておめでとうございます。ついに今年は前厄。初体験の厄除けの護摩の迫力に、正月早々興奮気味の編集部たけぶぅです。

いよいよ2017年がスタートしました。ダカール速報班はすでに動いていますが、編集部はやや長めのお休みをいただき、明日からの始動に向けて英気を養っております。本年もよろしくお願いします。

さて、トヨタ・ヤリスWRCがデビューするWRCモンテカルロまで、あと3週間足らずとなりました。今年はWRCの車両規定が大幅に変わることもあり、各メーカーともまったく新しいマシンでの戦いとなります。

すでにヤリスWRCのスペックもスタイリングも発表されていますが、編集部として少し気になるのは、昔からのトヨタWRCファンがどれくらい付いてこれているのか、という点です。トヨタがWRCを撤退したのは1999年、今年で18年です。21世紀に入ってからのWRCをまったく見ていないファンもいるかもしれませんね。

この間、WRCの世界も大きく様変わりしてきました。そこで数回にわたって、トヨタのWRC活動、トヨタのラリーカー、トヨタ不在のWRCの18年などを、かいつまんで(できるだけWRCを知らない方にも楽しんでいただけるように)ご紹介していきたいと思います。2017年からのトヨタのWRCを楽しむ予備知識になれば幸いです。

日本メーカーとして初めてWRCで活躍したトヨタ

トヨタの国際ラリー活動

トヨタ・セリカ・ツインカムターボ

TOYOTA

トヨタはWRCをはじめとする国際ラリーで長い歴史を誇っています。トヨペット・クラウンに始まり、70年代はコロナ、カローラ、レビンなど、国内のモータースポーツでも活躍したマシンたちが名を連ねています。

しかし、トヨタ=ラリーというイメージを定着させたのは、TA64セリカ・ツインカムターボでサファリなどで活躍したグループB時代でしょう。さすがに当時はヨーロッパ主体のWRCでフル参戦とまではいきませんでしたが、徐々にスピードと信頼性を高めていきます。

そして、チャンピオンを獲得しST165/ST185セリカで一時代を築いたグループA時代。ST165、ST185セリカは、バブル時代の好景気とトレンディドラマや映画の影響も相まって、ラリーはもちろん、市販車も人気を博しました。

撤退直前の1999年には、ワールドラリーカー(WRカー)のカローラWRCでも結果を残しています。まだインターネットも満足になかった時代ですが、その活躍は雑誌やテレビをとおして日本はもちろん、世界中に轟いていました。

ちなみに、近年はシーズンオフに突然発表されることも多いですが、WRC撤退については事前に発表されていました。その後、トヨタはF1に挑戦することになります。

年度参戦車両・概要
1956トヨペット・クラウンRSD 第5回豪州一周ラリーに参戦
1968コロナ(RT55) モンテカルロラリーに参戦するチームをサポート
1969コロナ(RT55) モンテカルロラリーに参戦するチームをサポート
1970コロナ・マークIIGSS モンテカルロラリーに2台体制で初参戦
1972セリカ(TA22) 第9戦RACラリーでTA22セリカ登場
1973セリカ(TA22)/カローラ・レビン(TE20) 第11戦プレス・オン・リガードレスでTE20が
トヨタ車のWRC初優勝(ウォルター・ボイス)
1974セリカ(TA22)/カローラ・レビン(TE20/27)/カローラ・レビン(TE27) オイルショックにより、
開幕戦モンテカルロラリーがキャンセル 。第1戦ポルトガルラリーでTE27レビン投入
オイルショックにより、トヨタはモータースポーツ活動中止を決定 モータースポーツを統括していた
第17技術部解散 チーム・トヨタ・アンダーソンに活動を委託
1975セリカ(TA22)/カローラ・レビン(TE27) ベルギー・ブリュッセルで
トヨタ・チーム・ヨーロッパ(TTE)発足
第7戦1000湖ラリーでTE27レビンがTTE初優勝(ハンヌ・ミッコラ)
1976カローラ・レビン(TE27)/セリカ(RA20) 第3戦ポルトガルラリーでRA20セリカ投入
1977カローラ・レビン(TE27)/セリカ(RA20)
1978セリカ(RA20)/セリカ(RA40) 第6戦1000湖ラリーでグループ2仕様RA40セリカ投入
1979セリカ(RA40) TTEがドイツ・ケルンに移転
1980セリカ(RA40)
1981セリカ(RA40)
1982セリカ(RA40)/セリカ(RA63) 第7戦モトガードラリー(現ニュージーランドラリー)で
セリカ(RA63)投入 デビュー戦で1-2フィニッシュ(B.ワルデガルド組/P.エクルンド組)達成

1983セリカ・ツインカムターボ(TA64) 第9戦1000湖ラリーでセリカ・ツインカムターボ投入
第11戦アイボリーコーストでセリカ・ツインカムターボがグループB初優勝
1984セリカ・ツインカムターボ(TA64)
1985セリカ・ツインカムターボ(TA64)
1986セリカ・ツインカムターボ(TA64) 第4戦サファリラリーで同ラリー3連覇達成
1987スープラ3.0(i MA70)/スープラ・ターボ(MA70) 第4戦サファリでスープラ3.0i投入
第11戦アイボリーコーストでスープラ・ターボ投入
1988スープラ・ターボ(MA70)/セリカGT-FOUR(ST165) 第5戦ツール・ド・コルスでセリカST165投入
1989スープラ・ターボ(MA70)/セリカGT-FOUR(ST165) WRCへの通年本格参戦開始
第10戦オーストラリアラリーでセリカST165がWRC初優勝

1990セリカGT-FOUR(ST165) ドライバーズチャンピオン獲得(カルロス・サインツ)
1991セリカGT-FOUR(ST165)
1992セリカGT-FOUR RC(ST185) 開幕戦モンテカルロラリーでセリカST185投入
ドライバーズチャンピオン獲得(カルロス・サインツ)
1993セリカGT-FOUR RC(ST185) カストロールがメインスポンサーに
マニュファクチャラーズチャンピオン獲得 ドライバーズチャンピオン獲得(ユハ・カンクネン)
日本メーカーとして初のマニュファクチャラーズチャンピオン獲得
TTEはトヨタ・モータースポーツGmbHとして100%トヨタ資本の子会社に

1994セリカGT-FOUR RC(ST185)/セリカGT-FOUR(ST205)
ドライバーズチャンピオン獲得(ディディエ・オリオール)マニュファクチャラーズチャンピオン獲得
第9戦サンレモラリーでセリカST205投入
1995セリカGT-FOUR(ST205) 第7戦カタルーニャラリーでリストリクターのレギュレーション違反が発覚
TTEは95年のWRCから除外(全ポイント剥奪)、1年間の競技ライセンス停止
トヨタ本社、2年間の活動自粛を表明
1997カローラWRC テスト参戦のための第10戦フィンランドラリーでカローラWRC投入
1998カローラWRC トヨタ正式復帰 開幕戦モンテカルロラリーでカローラWRC投入
1999マニュファクチャラーズチャンピオン獲得 10月10日にこの年限りでのWRC撤退を発表

トヨタのマニュファクチャラーズタイトルと主なドライバー

トヨタ・カローラWRC

TOYOTA

マニュファクチャラーズタイトル(メイクスタイトル)は3回。グループA時代に2回、WRカー時代に1回獲得しています。三菱、スバルの活躍も有名ですが、なんといっても日本メーカーとしてWRCを制したのはトヨタが初めて。また、岩瀬晏弘、藤本吉郎らの日本人ドライバーも参戦し、95年には藤本がサファリラリーで優勝も果たしています。WRCのトップカテゴリーで日本人の優勝ドライバーを輩出したのも、数ある日本メーカーの参戦の歴史のなかでトヨタだけです。

年度主なドライバー
1993年ディディエ・オリオール、ユハ・カンクネン、岩瀬晏弘ほか
1994年ユハ・カンクネン、ディディエ・オリオール、藤本吉郎ほか
1999年カルロス・サインツ、ディディエ・オリオール

トヨタのドライバーズタイトル

トヨタ・セリカGT-FOUR(ST185)/ユハ・カンクネン

TOYOTA

一方、ドライバーズタイトルは4回。ラリーは他のモータースポーツと比べて、マシンとドライバーの重要度でドライバーの能力が大きく要求されると言われます。卓越したテクニックが必要なドライバーはもちろん、的確なナビゲーションは当然として、ドライバーが集中できる環境づくりや、ラリーの進行のマネジメント、いざという時の緊急メカニックなど様々な役割が要求されるコ・ドライバーも重要な要素です。

トヨタが輩出したチャンピオンとしては、スペイン出身のカルロス・サインツ、フィンランド出身のユハ・カンクネン、フランス出身のディディエ・オリオールと、様々な国籍、得意とするラリーが異なるドライバーがいることも特徴的です。しかしなんといっても、ドライバーズ&マニュファクチャラーズの両タイトルをトヨタにもたらした、サインツのイメージが強いでしょう。1998年、最終戦RACの最終SSでマシントラブルによりリタイアし、わずか2点差でタイトルを逃すという劇的な結末もありました。ちなみに、1月5日現在、ダカールラリーのステージ3を終えて、セバスチャン・ローブに次ぐ2番手を走行中と、現在も現役のサインツ。その速さは未だ健在です。

年度ドライバーマシン
1990年カルロス・サインツセリカGT-Four(ST165)
1992年カルロス・サインツセリカGT-Four(ST185)
1993年ユハ・カンクネンセリカGT-Four(ST185)
1994年ディディエ・オリオールセリカGT-Four(ST185)

その歴史は簡単には語り尽せませんが、まずはざっくりとトヨタのWRCでの戦績についてご紹介しました。当時のトヨタの活躍について知らない方、ピンと来ない方は、ぜひ「RALLY & CLASSICS vol.1 グループAラリーのすべて」「vol.2 よみがえるグループB」「vol.3 2L WRカーの時代」もご覧ください。熱狂が渦巻いていた時代のWRCとその時代を駆け抜けたトヨタのWRC活動のすごさについて感じていただけると思います。残念ながら在庫切れの商品もありますが、電子書籍版ではすべて販売中です。全ページの立ち読みもできますので、そちらもどうぞ。

参考文献
RALLY & CLASSICS vol.1 グループAラリーのすべて(電子版)
http://www.as-books.jp/books/info.php?no=RLY20091218

RALLY & CLASSICS vol.2 よみがえるグループB(電子版)
http://www.as-books.jp/books/info.php?no=RLY20100802

RALLY & CLASSICS vol.3 2リッターターボWRカーの時代(電子版)
http://www.as-books.jp/books/info.php?no=RLY20110129

(続く)

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