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全日本ラリー飛鳥:MORIZO Challenge Cupは接戦を制した大竹直生が開幕3連勝

©TOYOTA

全日本ラリー選手権第3戦「YUHO Rally 飛鳥 supported by トヨタユナイテッド奈良」(ターマック)が5月16日〜18日、奈良県天理市を拠点に開催され、トヨタGRヤリスで争われるJN-2クラスのサブカテゴリー、MORIZO Challenge Cupでは、大竹直生が開幕3連勝を決めた。
(以下、チームリリース)


MORIZO Challenge Cup第3戦 RALLY 飛鳥
YUHO Rally 飛鳥 supported by トヨタユナイテッド奈良
大竹と稲葉が僅差のバトル
最終日に突き放した大竹が3連勝

5月16日(金)〜18日(日)にかけて、2025年シーズンの全日本ラリー選手権(JRC)第3戦「YUHO Rally 飛鳥 supported by トヨタユナイテッド奈良」が奈良県天理市を拠点に開催され、JN-2クラス内の若手育成カテゴリー「MORIZO Challenge Cup(MCC)」において、TOYOTA GAZOO Racing-WRJ(TGR-WRJ)から参戦する、大竹直生選手/橋本美咲選手が優勝を飾りました。

MORIZO Challenge Cup(MCC)は、若手ドライバー育成を目的に2024年から導入された、全日本ラリー選手権JN-2クラスのサブカテゴリーです。今シーズンもJN-2クラス車両規定をベースとした「トヨタGRヤリス」で争われます。全日本ラリー選手権全8戦で開催され、25歳以下(一部条件付きで28歳以下)のドライバーが対象。MCC独自のポイントが付与され、1位~3位までの上位入賞者、最多SSトップタイム賞、最優秀女性ドライバー賞が表彰されます。また、シリーズ年間成績優秀者には、副賞としてTGR WRCチャレンジプログラム最終選考の参加資格が与えられます。

第3戦ラリー飛鳥には大竹直生選手、ジール・ジョーンズ選手、長尾綱也選手、最上佳樹選手、松原周勢選手、稲葉摩人選手、兼松由奈選手、平川真子選手、奥井優介選手、米林慶晃選手に加え、田部井翔大選手と関あゆみ選手が新たにGR-DAT車両でエントリー。2025年シーズンから全日本ラリー選手権のカレンダーに加わったラリー飛鳥ですが、奈良県を舞台に全日本ラリー選手権が行われるのは実に32年ぶりのことです。すべてのクルーが、初体験のスペシャルステージ(SS・タイムアタック区間であり、タイムが計測されるコース)を走行することになります。

移動区間では石舞台古墳を通過するなど
長い歴史を感じさせるエリアでのラリーとなった
/TOYOTA

激しい雨に見舞われ、ウェットコンディションとなったラリー初日。SS1とSS2で連続トップタイムをマークした稲葉選手が僅差でラリーをリードします。SS3では滑りやすいコースを警戒した稲葉選手がペースを落とした一方、今回初のトップタイムをマークした大竹選手が稲葉選手に9.8秒差をつけてMCC首位に浮上しました。SS4では稲葉選手が再度トップタイムをマークし、大竹選手に0.1秒差まで迫りますが、SS5とSS6は大竹選手がわずかにリードする展開となり、首位争いは2.9秒という僅差で初日を終えました。

ジョーンズ選手はSS2番手タイムを2回並べるなど速さを見せて3番手をキープしていましたが、SS5から2速に入らなくなるトラブルが発生し、SS6ではパンクにも見舞われてしまいます。一方、この日最長距離のSS6において、SS3番手タイムで走行した松原選手がジョーンズ選手をパス。初日を終えて、首位から41.9秒差の3番手に松原選手、53.4秒差の4番手にジョーンズ選手、59.3秒差の5番手に最上選手が続きました。

前日までの雨は上がったものの、ドライとウェットが混在する難しい路面となった最終日。首位の大竹選手はこの日最初のSS7で、他の選手に10秒以上差をつける圧巻のトップタイムをマークします。これで稲葉選手との差を14.7秒に拡大すると、残るSSも完璧なペースで走り切り、2位以下に16.5秒差をつけてシーズン3勝目を決めました。

接戦を展開した大竹選手(左)と稲葉選手
固い握手を交わし、互いの健闘を讃え合う/TOYOTA

松原選手とジョーンズ選手による、チームメイト同士の表彰台争いは、SS8でジョーンズ選手が松原選手をかわして3番手に浮上。しかし、SS9でトップタイムをたたき出した松原選手が再逆転し、うれしいMCC初表彰台を獲得しました。ジョーンズ選手は4位でフィニッシュしました。

全日本ジムカーナ選手権の大会も開催される名阪スポーツランドを舞台としたSS8/SS10では、全日本ジムカーナチャンピオン経験のある奥井選手と、同じく全日本ジムカーナ選手権で優勝経験をもつ最上選手が好バトルを展開。1回目のSS8では、ふたりが同タイムのトップタイムをマークします。2回目のSS10では、最上選手が単独でステージウィンを飾り、5位に入っています。

■大竹直生(MCC1位/最多SSトップタイム賞)
これまではプッシュしすぎてしまう局面があったので、今回は勇気を持って、SS1の段階ではライバルの様子を見ようと考えていました。計画どおりSS3で首位に立つことができましたが、SS4で判断を誤ってしまったため、リードを失ったことは反省点です。基本的に無理をせず周囲と変わらないペースで走り、勝負どころでポンと抜けるのが理想です。今回はそういった戦い方ができたと考えています。チームが跳ねやすい路面に関するセットアップの経験があったことも、勝因となりました。

■稲葉摩人(MCC2位)
最終日のSS7において、クルマの左フロントをヒットさせてしまい、そこから怖さがでてしまいました。自分自身をコントロールできていないことが浮き彫りになってしまい、反省しています。それでも大事に至らなかったのは幸運でした。初日からコツコツと積み上げてきたラリーを壊してしまう危険性を身を持って経験しました。リスクを避けながら、スピードを上げていく練習が必要だと考えています。

■松原周勢(MCC3位)
前回はGR-DAT車両で参戦したのですが、その時に気を配ったアクセルの使い方をMT車両でも応用したところ、とてもいい動きをするようになりました。3位表彰台は素直にうれしいです。最終日は本当にフルプッシュを続けました。SS9のフィニッシュ後は、まだ1本SSが残っているのに、出し切った状態でした。そこから『まだ残っているぞ』と自分を奮い立たせましたが、最後は出し切れず、反省が残りました。SS9でしっかりタイムを稼げたことが、3位を得た要因だと思います。

■ジール・ジョーンズ(MCC4位)
まずは初表彰台を獲得したチームメイトの松原選手を祝福したいです。彼は本当に素晴らしい走りを見せていました。僕らはそのレベルに届かなかったということです。4位は決して悪い結果ではありませんが、自分たちが目指していた順位を考えると、やはり残念な結果だと言わざるを得ません。たった5秒の差ですが、チャンピオンシップではこういった小さな差が明暗を分けます。最後に、土曜日の最終サービスでトランスミッション交換など素晴らしい仕事をしてくれたチームの皆さんに心から感謝しています。

■最上佳樹(MCC5位)
名阪スポーツランドのSSでステージウィンを獲れたことは、うれしいです。全体としては、クルマをヒットさせてしまったり、パンクなど、トラブルが発生し、厳しいラリーになりました。自分のドライビングスキルが足りていないことを痛感しています。もっと色々な面で成長していかないと、ひとつ上のレベルのタイムで走ることはできません。ちょっとしたトラブルに見舞われると、それを引きずってしまうことも課題だと考えています。

■米林慶晃(MCC6位)
ラリー初参戦だった前回唐津はゼロからでしたが、飛鳥はイチからスタートすることができました。この難しいコンディションにおいて、ラリー参戦2戦目でMCC6位を得られたのは悪くない結果だと考えています。もちろんミラクルな成績を残したいという本音はありますが、優勝した大竹選手も『ラリーを始めて2戦目で経験するようなラリーじゃない』と言っていました。唐津から飛鳥にかけて積んできたトレーニングが間違っていなかったことも証明できました。ただ、周囲からは『次くらいが一番危ないぞ』と言われているので、次戦のモントレーは油断せずに挑みます。

■長尾綱也(MCC7位)
初日に走ったウェットコンディションは、初めての経験になりました。コース上を水が流れていたうえ、霧も出ていましたし、走行中にハイドロプレーニングになってしまったのも初体験です。最初は濡れた路面を走行することに不安がありましたが、それよりも最終日のように、濡れた部分がところどころ残っている路面の方が危険だと分かりました。クルマにトラブルもありましたが、GRヤリスへの理解も深まり、本当にいい経験になったラリーでした。

■奥井優介(MCC8位)
前回の唐津はリタイアしてしまいスラロームコースを走れなかったので、今回は必ず走り切って名阪スポーツランドを走ることを楽しみに、難しい初日を耐え抜きました。楽しみにしていた名阪の1本目はドライバーとして気負いすぎてしまい、ジムカーナ車両との違いを理解しているのに、合わせ込むことができず単独トップとはなれませんでした。ドライバーとしてメンタルが弱すぎます。ラリー全体としても、今回のようにハイスピードコーナーが続く林道を経験したことがなかったので、ペースノートの重要性も痛感したラリーになりました。

■田部井翔大(MCC9位)
まずはフィニッシュできて良かったです。全日本ラリー選手権初出場、なおかつ4WDターボもGR-DAT車両も初めての経験だったので、特に初日は、路面に苦戦したというのと、クルマに慣れるのに精一杯でした。危ない場面もたくさんありましたが、コ・ドライバーの梅本まどか選手に、抑えるべき場所を指示してもらったことで対処することができました。次のラリーに向けてのたくさんの宿題を持って帰れたのは、大きな収穫になりました。

■兼松由奈(MCC10位/最優秀女性ドライバー賞)
最終日は、平川真子選手に迫られたことで焦りもありましたが、セッティングを含めてペースを上げることができました。こういった展開になったことで、自分に伸び代があることを感じられました。今回から投入したGR-DATに関しては、ようやく“お知り合い”になれた感じです。まだプッシュする局面では、MTの時のように攻め切れていないと感じています。今回、タイムロスした箇所がいくつかありましたが、もっと経験を積むことで、改善していけると考えています。

■平川真子(MCC11位)
今回、ウェットからハーフウェット、そしてドライまで様々な路面を走ることができ、とても良い経験になりました。ウェットでは手応えを感じる場面もありましたが、最終日のハーフウェットではガクッとタイムが落ちてしまいました。チームの皆さんがしっかりと分析してくださり、改善すべき点を理解できどう取り組むべきか見えてきました。タイムが出た時の走りを、安定して再現できるようにしたいです。GRヤリスやGR-DATに関して、だんだん掴めてきた実感があり、私自身にとっても大きなターニングポイントになったラリーでした。

■関あゆみ(MCC12位)
全日本ラリーは2回目、MCCは初めての参戦ですが、難しいコンディションだったので、フィニッシュできて、まずはホッとしています。ラリー中はスポーツドリンクを飲んでいたのですが、ラリーを終えて初めて味がしました。2日間走ったことで、ラリーの雰囲気がだんだん分かってきました。ただ、今回初めて経験した4WDは、本当にドライブが難しかったです。それでも少しずつ理解できそうな感触もあるので、今シーズンをかけてGRヤリスと仲良くなっていきたいです。そして、タイムを上げつつ、ひとつでも上の順位を目指したいと思います。

全日本ラリー選手権第3戦 YUHO Rally 飛鳥 supported by トヨタユナイテッド奈良
MORIZO Challenge Cup最終結果

1 大竹直生/橋本美咲(GR YARIS GR4 Rally) 56:24.0
2 稲葉摩人/竹下紀子(MATEX-AQTEC DL KYB GRYaris) +16.5
3 松原周勢/槻島もも(CUSCO WM DL GR Yaris) +1:03.2
4 ジール・ジョーンズ/バイデン・トムソン(CUSCO WM DL GR Yaris) +1:07.9
5 最上佳樹/小藤桂一(FIT-EASY ZEAL GRYARIS) +1:14.7
6 米林慶晃/菅野総一郎(KTMS GRヤリス) +2:54.0
7 長尾綱也/安藤裕一(DL WPMS GRヤリスDAT) +3:34.6
8 奥井優介/藤田めぐみ(CUSCO WM DL GR Yaris) +3:47.2
9 田部井翔大/梅本まどか(CUSCO WM DL GR Yaris) +4:14.6
10 兼松由奈/山下秀(ロッソモデロ 大東建託 GRヤリスDAT) +4:22.3
11 平川真子/竹原静香(GR YARIS GR4 Rally DAT) +4:25.2
12 関あゆみ/市橋真由子(FIT-EASY ZEAL GRYaris) +12:17.3
参戦12台、出走12台、完走12台



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