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WRCポルトガル:エルフィン・エバンス「去年の今頃はもうゲームオーバーだった」イベント前記者会見

©Toyota Gazoo Racing WRT

WRCラリーポルトガル、シェイクダウン後に行われたイベント前カンファレンスの内容(抜粋)。グラベル7連戦の初戦を選手権リーダーとして迎える、トヨタのエルフィン・エバンス。11ポイント差に5人がひしめく激戦のドライバーズ選手権争いに絡んでいる現状に、ワクワク感をのぞかせた。

●WRCプレイベントカンファレンス出席者

FIA

エルフィン・エバンス=EE(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
ダニ・ソルド=DS(ヒョンデ・シェル・モビスWRT)
リチャード・ミルナー=RM(Mスポーツ・フォードWRT、チーム代表)

Q:エルフィン、2週間前のクロアチアで優勝し、ドライバーズ選手権で首位に立って金曜日はスタート順がトップとなる。過去にも先頭走行で勝ったドライバーは何人もいる。どうすれば勝てるのか
EE:スタート順が先頭になってラクになるグラベルラリーはない。カッレは昨年、勝てることを証明してみせたが、もちろんトラブルに見舞われたライバルが多かったこともある。その後、自分との戦いになり、自分はアマランテで雨に見舞われた。思うところはいろいろあるが、最高の仕事をするためにここにいる。金曜日が難しくなることは分かっているので、できるだけ差を広げられないように頑張りたい。

Q:ダニは、スタート順が遅くなる。ここでは、石がたくさん道に出てくることから、あまりいい状況とはいえない部分もあるが、後方からのスタートが難しいこともあるか
DS:後方からのスタートの方がアドバンテージはあると思うが、道がクリーンでなくなると不利になる。ステージにダストが残ることもあるので、厄介になる場所もあるかもしれない。でも、自分たちには有利になるはずだ。

Q:金曜日は日中サービスがないため、長い一日になる。マシンを守らなくてはならないと感じるか、それともそんなモードには入らないか。全開で攻めていくのか
DS:自分たちは最初から全開でいくと思う。スペアパーツを車載したりするしね。でも、ヘルメットを被ったら、誰でも最初からできる限り速く走ろうと挑んでしまうものだ。
EE:日中サービスがない場合は、落とし所を見つけるのが難しい。結局は、何かが壊れてしまえば、いずれにしてもその日の戦いは終わってしまう。ある程度のパーツは車載するが、バランスを取る必要がある。大きなダメージに備えるからといって、トラック1台分のスペアパーツを載せたりしたら、コンペティティブには戦えないからね。あとは祈るばかりだ。

Q:選手権争いは、5人の差が11ポイントとエキサイティングになっている。その混戦の中にいて、エキサイティングだと感じているか
EE:昨年の今の時期よりもエキサイティングになっていると思う。去年の今頃は、すでにゲームオーバー状態だった。もちろん、今の位置につけられているのはハッピーだが、まだ時期尚早だし、ヨーロッパのグラベル連戦が始まったばかりだからね。これからどのように動いていくか、興味深いよ。

Q:ここからグラベルが7戦続く。シーズンの繁忙期になる。今回のターゲットは。先週は盛大に誕生日も祝ったのでは
DS:もちろん、ターゲットはいつもどおり、トップ争いをすること。誕生日のお祝いはしなかったよ。ポディウムのトップに上がってお祝いがしたいね。

Hyundai Motorsport GmbH

Q:リチャード、2023年はここまでオィット・タナックが優勝1回、2位1回、激しい選手権争いに絡んでいる。Mスポーツ・フォードの今シーズン、ここまでをどのように分析するか
RM:満足していないなんていうのは、ばかげていると思う。首位との差は片手程度だし、今回のラリーはスタート順がいいし、ここまで高ポイントを獲得している。メキシコは誰にとってもタフなラリーだが、それ以外はいい仕事ができていると思う。もちろん、オィットがチームをプッシュしてくれているが、隣に座っているドライバーたちもそれぞれのチームをプッシュしているんじゃないかな。チームをプッシュしていくことも彼らの仕事だ。昨年、やっていたいろいろなことについて、ほかのドライバーとは少し違う方向でクルマを進めてきたことが良かった。いい進捗をできるだけ長く続けられることはいいことだ。シェイクダウンではいいタイムが出ているので、ポジティブな形で週末を滑り出せたと思う。

Q:少し違う方向、というのはどういう意味か
RM:オィットは昨年のデータをすべて把握しており、それには完全に納得していなかった。彼は少し違う形のセッティングや、開発も違う方向性を望んでいた。色々なテストやイベントでダンパーやシャシーのセッティングに微調整を続けている。こうした作業が進んで、彼が少しでもドライブしやすいようになることを期待している。シェイクダウンでは、コンペティティブなタイムを出してスタートできたが、ハードなラリーで明日は一日が長い。最終的には、選手権争いに残るためには、ここでより堅実にポイントを獲得しておかなければならない。

Q:経験豊富なオィット・タナックと、シーズンの中で部分的とはいえ好ペースを見せるピエール-ルイ・ルーベがいる。彼の成長はどうか。今シーズンの彼のターゲットは
RM:プレッシャーがなくいいリザルトも残したスポット参戦から、浮き沈みもあるフルシーズンに挑むのは難しいものだし、メキシコのように小さなミスをしてしまうと、走行順が先頭になってしまう。彼は、いくつか小さなミスをしている。モンテカルロでは、彼はそれに満足できなかったし、シーズンの滑り出しとしてはトリッキーなものになった。ここからは、彼がもう少し走りやすいイベントが始まるので、昨年のような走りを取り戻すことが目標になる。シーズンはまだ先が長い。1年でトップに上がることはできない。彼ら(エバンスとソルド)も、安定してポディウムに上がったり勝てるようになるまで何年もかかっている。簡単にできることではないし、ピエールにはいつも大きなプレッシャーがかかっている。出足はトリッキーだったが、チームが彼を支えているし、素晴らしいチームメイトもいる。手堅いリザルトを収めて自信を取り戻して、方向を正して、この先のシーズンでさらに強くなった彼を見ることを期待している。

M-SPORT

Q:現状、2台体制だが、サードカーにセバスチャン・ローブが戻ってくる可能性はあるのか
RM:可能性はいつでもあると思うが、そのことについて語ろうとは思わない。今は、限られたリソースの中でオィットを100%押し出すという目標に変わりはない。今は選手権を争っているので、そこに注力することが目標。今年のマニュファクチャラーズ選手権は、あまり現実的ではないと思うので、ポイントを獲得するために3台目を投入するのは、今の段階では現実的ではない。オィットとピエールに100%集中している。一年の中でどうなっていくか、だね。セブはご承知のとおりラリークロス参戦の契約を結んだから、家でゆっくりしていることも退屈になることもないだろう。彼はラリー2マシンを試したりもしている。彼がいつ、次に参戦するかなんて、誰にも分からないんじゃないかな。

Q:対話は続いているようだが
RM:個人的にはしていないが、もしメールを送れば返信はしてくれると思うよ。

Q:WRC2について、アドリアン・フルモーはフィエスタ・ラリー2のアップグレードに非常に満足している。正しい方向に向かっているか
RM:このマシンはいつもコンペティティブだと思っている。2021年はレギュレーションを模索することに長い時間を費やし、2022年はラリー1に時間を費やした。ラリー2マシンはいつもいいペースを出していたが、我々のサイドからはあまりプッシュしていない。シュコダは新しいマシンを出したし、ヒョンデも出してくるし、何度も戦いに絡んでいるがほかのマニュファクチャラーと比べドライバーは少ない。今年は、アドリアンをプッシュすることに多く注力し、彼がこのマシンで戦いマシンのポテンシャルを披露できるかに注目しているが、ここまでのところ彼はそれを達成していると思うし、今朝のシェイクダウンでもそうだった。開発は常に継続していくもの。それが我々のブランドであり、社のエネルギーであり、マシンがコンペティティブであることを示してマシンを売り続けることが目標。そのためにやっていると思う。

記者席からの質問
アンドレ・ゴンサルベス(Record、ポルトガル)
Q:将来的にWRCをよりよくするための変化について論議されているが、個人的な意見としてWRCにはどんな変化が必要と思うか

RM:短い時間で詳しく説明することはできないが、このスポーツをよりよく知ってもらえるようになるために、チームとマニュファクチャラー、プロモーター、FIAが一体となって取り組まなくてはならない。先週末、さらに気付かされたことがあった。F1のマイアミGPだ。レースはさておき、それまでの演出が本当に素晴らしかった。しかし、最終的にはみんな、演出企画を1時間半見届けた後、レースは観なかった。WRCにも多くの演出企画があり、競技としても素晴らしいが、なかなか見応えが出ないのも事実だ。安直な方法もあるだろうが、我々は一丸となって、3カ月計画、6カ月計画、1年計画、5年計画で、何をすべきかを考えてみる必要があると思う。一晩で変えることはできない。でも、ほかのシリーズを比べると少し遅れているような感じもする。プライドを捨てて、一緒にやっていく方法を模索すべきだと思う。
DS:変えなくてはならないことはたくさんあると思うし、もっと多くのマニュファクチャラー参入も必要だ。いくつかのことを修正し、より多くのドライバーがトップを争えるようになるための助けがいる。そしてメディアにも、変わってもらわなくてはならないことがある。自分たちはF1ではないが、メディアは何年もF1を特別に扱っている。これについては、何時間でも話し合えるよ。
EE:ふたりの話にあまり追加できるものはない。たくさんのことを行わなくてはならないのは明らかだ。自分たちの側からは、鍵となるのは、デイはどんどん長くなるのに、ラリーの走行はどんどん短くなっていることだ。ステージを走ったりエンターテイメントを行ったりするよりも、一日のほとんどを郊外のロードセクションを走ることに費やしている。よりコンパクトなラリーにしたり、サービスの運営方法で異なる方式をとるなど、検討する必要があると思う。

リチャード・ミルナー(Mスポーツ・フォードWRT)
Q:明日のタイヤ戦略を教えて?

EE/DS:(笑)



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