WRCジャパン:ヘイキ・コバライネン「いつかラリーフィンランドに出てみたい」WRC2部門イベント前記者会見 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

WRCジャパン:ヘイキ・コバライネン「いつかラリーフィンランドに出てみたい」WRC2部門イベント前記者会見

©Hiroyuki Takii

WRCラリージャパン、シェイクダウン後に行われたイベント前カンファレンス、WRC2の内容(抜粋)。今季の全日本タイトルを獲得し、待望のWRCデビューを果たすヘイキ・コバライネン。ラリーの聖地として知られる母国のWRCラウンドへの挑戦も夢に抱いていることを語った。

●WRC2 プレイベントカンファレンス出席者

Hiroyuki Takii

カエタン・カエタノビッチ=KK(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)
エミル・リンドホルム=EL(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)
ヘイキ・コバライネン=HK(シュコダ・ファビアR5)
福永修=OF(シュコダ・ファビアR5)
新井敏弘=TA(シトロエンC3ラリー2)

Q:エミル、この日本でカエタノビッチとのWRC2タイトル決定戦を迎える。もうひとり、今回は出場しないミケルセンが自宅のテレビ前で動向を見守っている。 この日本のターマックでの壮大な挑戦を前に、今の気分は
EL:できる限りの準備はしたつもりだ。ターマックラリーは今季3度目だが、今シーズンを振り返るとターマックでの結果はまずまずいい。ここの路面がどんなものなのか、ある程度は聞いている。ここは基本的に超ツイスティだ。でも僕たちはストレートではなく、これらのコーナーを走るためにここにいる。だから、レッキも楽しんだ。

Hiroyuki Takii

Q:速いドライバーは直線ではなくコーナーにいる、というコリン・マクレーの名言があるが、この週末はそれが本当かどうか、わかる。タイトルが決まるビッグウイークエンドだが、プレッシャーや緊張はないか
EL:結局のところは、ほかと同じラリーのひとつでしかない、と僕はいつも言っている。それでも、この週末は僕にとってこれまでとは全然違うものだけどね。いずれにしろいつも通りの仕事をする、それだけだ。

Q:とてもシンプルに聞こえる
EL:結局は、そういうことなんじゃないかな。もちろん今回は、いつもと違う要素はあるが、自分たちはこれまで通りに走り続けていくことが必要だ。

Q:この週末タイトルを獲得できたら、自分にどんな意味を持つことになるか
EL:大きな意味を持つと思う。でも正直なところ、僕は1日1日、そしてステージひとつひとつが勝負だと思っている。タイトルを獲れるかどうか、いずれにしろすべては日曜日に分かる。

Q:カイト、ステージについての印象は。想像していた通りだったか、それとも実際に見て衝撃を受けたか
KK:こんなに難しいステージだとは思わなかった。狭くてツイスティで滑りやすく、変化が激しい。非常に難しいのは確かだが、誰にとっても条件は同じだからね。そして、この国を楽しんでいる。人々はとても優しいし、気に入っている、日曜日までステージを楽しみたい。

Hiroyuki Takii

Q:今週末は激戦になると思うが、特別な準備はしてきたか、いつもと同じか
KK:エミル以上に十分な準備はできているよ。自分はもう43歳だからね。いつも以上のプレッシャーは感じていない。心臓はバクバクだけど、自分のラリーが走れるように頑張るよ。

Q:これまでの自分のキャリアで、ジャパンのようなステージの経験はあるか
KK:ポーランドの一部やコルシカと比べることはできるかもしれないけど、ちょっと違うかな。

Q:オサムさん、今年はWRCターマック戦のクロアチアとベルギーに参戦してきたが、今シーズンの経験についてどう考えるか
OF:ラリーで走る緊張よりも、この記者会見で英語でしゃべらなあかん緊張の方が大きいから(苦笑)。でも、とにかくこのツイスティで難しい道と言っていますが、僕らからしてみれば国内で走っていた一般的な道で。むしろ今回、大きな大会ということもあって、主催者が路面整備もしっかりやっていただいたことに感謝しています。

Hiroyuki Takii

Q:今回の目標は
OF:今年、WRC2でクロアチアとかイープルとか走らせてもらいましたが、まだまだやっぱり力不足ということもあるので、とにかく当たって砕けろじゃないけど、自分の持てる力をとにかくぶつけていくという感じで考えています。

Q:トシ、またここであなたが走る姿を見ることが出来て本当にうれしい。まず、日本にWRCが戻ってきたことについてどう思うか
TA:そうだね、本当にうれしい。以前は北海道で東京からは遠かったが、今回は東京や名古屋にもかなり近くなって、いい街だし、みんな来やすいと思うので。

Hiroyuki Takii

Q:今回はシトロエンのラリー2マシンという、まったく新しい挑戦だ。今週始めにテストをしたようだが、マシンの感触は。どのように適応したか
TA:普段はもっと大きくて重いグループNのスバルに乗っているので、ラリー2のマシンはゴーカートのようで、初めて運転した時はとても驚いた。今はいろいろ変更しているところで、少し慣れてきたが、まだあまり上手くない。もしかしたら日曜日には「クルマは友達」になっているかもしれないけど、今は「触らないで!」と言われている感じ。ラリーが終わったら友達になれるといいなと思っている。

Q:テストでは何kmくらい走ったか
TA:2日間のテストで、初日は10km、2日目の日曜日は30kmといったところだけど、まだ足りない。スバルに長く乗っていたことで身体がグループNのマシンしか知らないから、すごく大変だ。

Q:体にスバルが染みついているんだね。WRCの知り合いや以前のチームメイトに会ったりしたか
TA:そうだね、多くのジャーナリストやカメラマンも皆知っているので、 とてもうれしい。長く会っていなかった家族に再会したようだ。

Q:ヘイキ、特に今年、日本のラリーで成功を収めているが、WRC2への大きなステップアップとなる今週末への意気込みを
HK:僕自身とコ・ドライバー、そしてチームにとって大きな挑戦になると思う。日本ではあまり経験したことのない大きなイベントなので、僕たちにとってもチームにとっても、トラブルなく終えることが最優先だ。僕にとっては馴染みのある道で、ここのツイスティでナローな道に違和感を抱かないドライバーは、 もしかしたら僕だけかもしれない。むしろ高速セクションが異様に見えるほどだ。だからこのイベントでキャリアの次のステップに進むことには自信があるが、いい結果を出す自信はまだない。学ぶべきことはたくさんあるが、いつかは最初の一歩を踏み出さなければならないわけで、おそらく今がそのタイミングで、それに相応しい場所だと思う。今、フィンランドのラリーに行く自信はないが、日本でシーズンを過ごしているので、ここでラリーをする準備はできているし、大きな期待ではなく、一歩一歩、各コーナー、ステージごとに、というのが僕たちにとって正しいアプローチだと思う。

Q:ここも(ラリー・フィンランドと同じく)コーナーが多く、忙しい週末になりそうだ。ここまでのラリーキャリアはこれまで日本が中心だが、海外にも目を向けようと思っているか。ラリーフィンランドが目標か
HK:いつかラリーフィンランドに出られたら素晴らしいが、僕が全日本ラリー選手権でシーズンを過ごしてきたのは、サーキットレースの経験があったからだ。日本でGT選手権を7シーズン過ごし、その前はF1でキャリアを積んできた。日本でGTをやっている間、何年もラリーにスポット参戦してきた。楽しかったし、常にラリーへの情熱を持っていた。実際、幼い頃にF1を見始める前はWRCやラリーを見ていて、たぶん85年か86年にグループBのフィンランドのマシンや走りを見たことを覚えている。ハッキネンが93年にマクラーレンに移籍してからはF1を見るようになった。

僕がレースの世界に入ったのはまったくの偶然で、家族の友人のゴーカートを家の駐車場で試したところ、父が「息子は駐車場をうまく走れるから、きっと才能がある」と考えたからなんだ。でも、ラリーへの情熱は常にあった。サーキットレースへの情熱は少し薄れてきていて、それが昨年辞めた理由でもあるが、それと同時にラリーへの情熱はさらに大きくなっている。僕はもう歳をとっているし、世界チャンピオンになることはないだろうけど、それでもラリーでのキャリアを歩んでいくことには価値があると感じている。まだ健康で元気だし、できる間はどんな機会があるか楽しみにしたいし、いつかフィンランドに参戦できたら楽しいだろうね

Q:F1やGTの話が出たが、ラリーとはまったく異なる分野だ。ラリーでのスキルもどんどん上がっているが、どのような点が課題だと感じているか
HK:運転自体はほかのクルマと変わらない。レーシングドライバーもラリードライバーもクルマの乗り方を知っている。ラリーで大変なのは、明らかに覚えていないような道を走ることだ。そして、ペースノートに頼らざるを得ない。

ほか多くの新人ドライバーと同様、僕にとっての一番の挑戦はいいペースノートを作ること、それをコ・ドライバーに読んでもらい、理解することだ。いいペースノートを作れたと分かった時は最高の気分だ。ペースノートの作成やコーチングにももっと多くの時間を費やす必要があると思うが、先ほども言ったように、僕たちには自信がある。理に適ったペースノートを作れていると思うし、路上に留まれることを願っている。



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