消去法から誕生した最強マシン
1987年、渾沌のグループA初年度。いち早く正解を導き出し機先を制したランチアは6年連続マニュファクチャラーズタイトル獲得という現在もWRC史に残る金字塔を打ち立てた。綺羅星のごときドライバーとともに駆け、勝利の原動力となったデルタはたゆまぬ改良を重ね、ライバルを退け続けた。Part 1ではランチアがワークス参戦した91年までの来し方と隆盛のひと幕を振り返る
[Interview With Key Persons]チェザーレ・フィオリオ
飽くなき情熱と抜群の統率力で最強を誇ったランチア軍団
栄光の裏には、いつもこの男・チェザーレ・フィオリオがいた。2017年の自転車事故から奇跡的な復活を遂げたかつての猛将が自らが関わった最後のラリーカー、デルタを語り尽くす
[PLAYBACK the Rally Scene 1987-1991]“怪物”の影を越えろ
ランチアが長年積み重ねてきたノウハウが遺憾なく発揮され過去最高の戦績を残すに至った一連のデルタ・シリーズはターマック、グラベル、スノー…… 悲願のサファリでも成功を収めランチアの黄金期を築き上げてみせた。マルティニストライプを纏い、颯爽と時代を駆け抜けたコンパクトハッチの残像を追う
頂点への試行錯誤 大胆に繊細に、重箱の隅をつつけ
ランチア・デルタHF 4WDを頂点へと導いた原動力は
チームの愚直で献身的な開発への取り組みだった。マシン開発のスピード、自動車メーカーとの協力関係。当時の談話を紐解きそれを検証する
栄光の勝利とスキャンダル
1987年開幕戦モンテカルロで何が起きたのか?
グループAがWRCのトップカテゴリーとなって
初めて開催されたラリーモンテカルロ。結果だけ見れば2台のランチア・デルタHF 4WDが圧倒的な強さで勝利を収めたようにも見えるが、その内側では様々な混乱が起きていた
インタビュー ミキ・ビアジオン
成功と、少しの後悔。
ワールドチャンピオンになって30年以上経った今もミキ・ビアジオンは自身の人生を決定づけたランチアでの日々について、昨日のことのように覚えている。いくつもの偶然が重なってスタートしたラリードライバーの道。絶対的な強さでWRCに君臨したデルタで刻んだ数々の勝利。つかんだ王座と僅かな悔恨、怒涛の時代に彼は何を思っていたか
LANCIA
DELTA HF 4WD/DELTA HF Integrale/
DELTA HF Integrale 16V
Results Encyclopedia 1987-1991
イラストで見る、ランチア・デルタ全記録。
急遽グループAで争われることになった1987年シーズンのWRCに、ランチアは2リッター+4WDターボという最強のパッケージをコンパクトなハッチバックに詰め込んだデルタを送り込む。そして圧倒的なドライバーラインナップを揃え、前人未到のメイクス6連覇を達成してみせた