WRCポルトガル:ラトバラ「タカには『いつか表彰台に上がるから、今回は4位を狙え』と伝えた」イベント後記者会見 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

WRCポルトガル:ラトバラ「タカには『いつか表彰台に上がるから、今回は4位を狙え』と伝えた」イベント後記者会見

©Toyota Gazoo Racing WRT

WRCラリーポルトガルのフィニッシュ後に行われたイベントカンファレンスの内容(抜粋)。エバンスとオジエが1-3フィニッシュと好成績を収め、さらに育成ドライバーの勝田貴元が4位に入ったことについて、トヨタチーム代表のラトバラは、今の限界と今後への期待をストレートに伝え、メンタル面で若手ドライバーを支えた。

●WRCイベント後記者会見 出席者

Toyota Gazoo Racing WRT

エルフィン・エバンス=EE(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
ダニ・ソルド=DS(ヒュンダイ・モータースポーツ)
セバスチャン・オジエ=SO(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
ヤリ−マティ・ラトバラ=JML(トヨタ・ガズーレーシングWRT、チーム代表)

Q:エルフィン、ポルトガル優勝おめでとう。土曜日の午後から日曜日の午前までのダニ・ソルドとのビッグバトルは見応えがあった。自分ではどう思うか
EE:優勝を獲得できて、もちろんハッピーだ。ここのところ勝利を目前で逃していたから、今回は絶対に獲りたかった。いろいろな意味で簡単なラリーではなかったし、正直、通常の距離でのラリーはかなり久しぶりだったから、レッキから本当に張りつめていた。レッキの期間もかなり長く感じたよ。

Toyota Gazoo Racing WRT

Q:クロアチアで優勝を取りこぼしたが、今回の勝利で雪辱となったか
EE:そういうことでもない。終わったことは終わったこと。自分たちは常に前を向いて動いているし、できる限りのポイントを獲得していく。その点では、前進していることにはハッピーだよ。

Q:今日の午前は、新しくトリッキーなステージで素晴らしいタイムをたたき出した。全開で攻めたようだが、プランどおりだったのか
EE:もちろん、あまり勝負できる時間は残されていなかった。今日はビッグファイトになると考えていたから、最初からできる限りの力で攻めていくことが重要だった。

Q:今回の試練のひとつに、タイヤマネージメントがあった。この争いについてはどう感じているか
EE:昨晩のスーパーSSまでは、そう悪くなかったし、全体としての流れもかなり良かった。そこはOKだが、今日はあのマシンであのタイヤで3回目のループをプッシュするのは理想的ではなかった。

Q:これまで、少し慎重になりすぎたかもしれない、もっとハードにプッシュできたと言っていたこともあったが、今日は違うエルフィン・エバンスになっていたようだが。
EE:マシンのフィーリングが100%ではない時に全開でプッシュすれば、自然とミスが出始める。どんな時も自分のフィーリングを信用しなくてはならないし、ステージを終えてかなりフラストレーションを感じられたとしても、フィーリングが完璧でない時にはどんなリスクも負わないことが正解であることが多い。自分がしっかり踏んでいけるマシンであることが重要だし、それが今日の午前の自分だった。すべて、かなりいいフィーリングだったよ。

Q:ダニ、2位でフィニッシュしたが、週末を通して素晴らしいペースを見せ、一時は首位に立った。今回の2位と週末の内容をどう考えるか
DS:もちろん、週末の内容はかなりよかった。みんなと同じようにタイヤの問題は少しあったし、あるヘアピンでエンジンをストールさせて10秒をロスした。昨日はかなりよかったが、午後はエルフィンがずっと速かった。少しどころではなく、どんどん速くなってギャップを広げられた。彼は、今日も最初のステージから本当に強かった。すでに10秒差をつけていて、その後にさらに9秒広げた。だから、最終的に2位はよかったが、あともう少し上に行きたかったね。

Hyundai Motorsport GmbH

Q:ポジティブな点は、ペースが出ていて新しいコ・ドライバーとのコンビもうまくいったというところだ。マシンの中で息を合わせるのは難しい作業だが、準備する時間もない中、すぐにラリーに対応した
DS:コ・ドライバーが替わるのは、予想していた以上に難しかった。経験はとても重要だし、彼はこのラリーで経験を積んだから、次はもっと良くなると思うよ。

Q:次はサルディニアだが、ここ数年はソルドの縄張りになっているイベントだ。楽しみにしているか
DS:今年は、新しい部分があるし、ラリーのエリアも新しいので難しくなると思う。でも、もちろん連覇に挑戦したい。走行順もいいので、どこまでできるか楽しみだね。

Q:今朝の最初のステージで、プッシュするだけの十分な自信がなかったと話していた。エルフィンのタイムを見た時、あの段階で20秒差を取り返せると考えていたか
DS:ポルトガルで20秒差といったら、大差だよ。少し賢明なら、追いつくのは難しいということは分かる。自分が1ステージで5秒勝って、彼が5秒勝つというような話ではなかった。彼は常に少しずつ速かったし、自分はそうではなかった。合計40kmで追いつくのは難しいよ。

Q:セブ、今回は高ポイントを獲得して、選手権リードを守ってサルディニアを迎える。1日ずつ、よくなっていったように見えるが
SO:そうだね、先頭走行するのは初めてではないけど、でも何回やっても楽にはならない。コンペティティブに戦えない時は、上位争いができるような状況に持っていくのは大変だ。そういう意味では、ハードな週末だった。でも最終的な結果として、18ポイント獲得できたのはよかった。これ以上の結果は期待していなかった。今回は、一度もベストのパフォーマンスを出すことができなかった。小さなミスが何回かあったし、ストールもスピンもした。いつもの自分なら、あまりやらないんだけど。マシンにも完全には満足していなかった。だから、最終的にこれだけのポイントを獲れたのは、今回のポジティブな点だ。

Toyota Gazoo Racing WRT

Q:オジエがプッシュする姿を待っていたが、少し抑えていたようだ。後から考えれば、それが賢明だったのか
SO:そう思うよ。3位でフィニッシュして、ダニやエルフィンとの差も大きかったので、自分が完璧なパフォーマンスをしたとしても、差は詰められたかもしれないが、あの走行順では彼らとバトルはできなかったと考えている。サルディニアでは、より深く理解して取り組まなくてはならないことがある。正直、選手権をリードしていることにはハッピーだ。首位に立つのは、いつでもいいものだからね。サルディニアで先頭を走りたい人なんて誰もいないが、ポイントは獲れているし、あとはライバルが自分に追いつけるか次第だ。

Q:ヤリ−マティ、序盤はヒュンダイ勢が強かった。なぜなのか
JML:正直、ヒュンダイ勢はとても強かった。自分たちはベストのパフォーマンスを出せていなかった。なぜかって? 基本的に新しいグラベルタイヤでの準備が彼らの方が良かったのだと思う。自分たちのテストはウエットコンディションだったので、ドライコンディションでどのような動きになるのか100%ハッキリした見解を持てなかった。我々のドライバーがタイヤの経験が必要で、フィーリングに対応しなくてはならなかったという要素があったし、そしてもちろん、走行順も早かったという状況の中で、よくやってくれた。このイベントで勝てるかどうか、確信は持てなかったが、1-3フィニッシュを得られたのは素晴らしいリザルトだ。

Q:今日の朝の段階で、ダニとエルフィンは10秒差だった。エルフィンがそれを倍にした時、どう思ったか
JML:正直、あの新しいステージには自分もレッキに出かけた。過酷なステージで、下りやブラインドクレスト、巻き込むコーナーがたくさんあり、路面もスリッパリーだった。自信と覚悟があるかないかで差がつくタイプのステージだ。最初のスプリットタイムを見て、覚悟を感じ取れた。彼のパフォーマンスは見ていて素晴らしかった。あの後、気持ちが少し楽になった。もちろん、かなり速度が高かったから、道の上に残っていられるのか少し心配だったけどね。

Q:タカ(勝田貴元)と、カッレ(ロバンペラ)のテクニカルトラブルについて聞かせてもらえないか
JML:タカは、素晴らしい内容だった。彼があのようにステップアップしてくれていることが本当にうれしい。昨日彼は、セブとバトルになっていたが、それを見るのはとても興味深かった。朝のステージに向かう時、彼に言ったんだ。チームの中で話していたことをね。セバスチャンは新しいソフトタイヤを2本持っていて、君よりいいタイヤをキープしている。今回は4位を獲ることを考えるんだと。それが、今の時点で君ができるギリギリ最高のリザルトだと。君がポディウムに上がる日は、そのうちに来る。自分としても、彼は確実に4位を獲りたかったと思っていると考えている。彼はクレバーなドライバーだからね。カッレのマシンには、テクニカルトラブルが発生してしまった。土曜日の夜に調査した。彼のドライビングは問題なかったし、パワーステージでポイントもとったが、自分はテクニカルディレクターではないので、この点については答えることができない。

記者席からの質問
ジェイソン・クレイグ(オートスポーツ、英国)
Q:アンドレア・アダモのコメントでは、アダモが優勝に向けてプッシュしたことがプレッシャーになったと言っていたが

DS:もちろん自分も勝ちたかった。みんな勝ちたいと思っている。彼は、自分のモチベーションを伝えるのが好きなんだ。彼はマシンを無事に持ち帰って、2位に入ったことで満足してくれている。

ホセ・ルイス・アブルー(オートスポーツ・ポルトガル)
Q:アルガニルのステージで砂利掻きをするのはどれくらい難しいか。先頭走行でモルタグアを走ってベストタイムを獲るのは可能だと思うか

SO:
アルガニルでは、本当に苦労した。道は湿っていたようだったので、フロントに1本ハードを履いたが、アンダーに悩まされた。グリップがかなり低くて、長い下りで自信が持てなかったのでかなりタイムに響いた。唯一勝てたステージだったが、実は先頭走行だったからタイヤをセーブできたともいえる。このステージではライバルに対してかなりアドバンテージがあった。あそこでは、ミスもたくさん起きた。今回、自分たちが上位争いに戻れそうな最初のポジティブな予兆だった。

Q:エンジニアのルイがポルトガル人だが、彼との関係は、特にこのイベントでは重要か
EE:チームの全員が重要だが、エンジニアは鍵となる役職だ。自分が一番、話し合いを持っているのが彼だ。とてもラリー好きで、この仕事もラリーのことも愛している。彼の母国ラリーで勝てたことがうれしいよ。彼の必死な努力にも感謝だね。

マルコ・ガルシア(オートスプリント、イタリア)
Q:サルディニアではこの5年、ヒュンダイ勢が制しているが、なぜサルディニアでテストを行わないのか

JML:自分たちはテストを行える期間に制限があり、それはドライバーひとり当たりの計算になっている。今年は、新しくケニアがあるので、よりケニアに重点を置いている。サルディニアとポルトガルは、同様のイベントと考えた。ここはひとつのセッティングと捉え、誰もが初めて挑むケニアに向けてもっと作業を詰めていく。



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