WRCモンテカルロ:ラトバラ「トヨタの4台がトップ6に入ったのだから、これ以上ない成果」イベント後記者会見 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

WRCモンテカルロ:ラトバラ「トヨタの4台がトップ6に入ったのだから、これ以上ない成果」イベント後記者会見

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WRCラリーモンテカルロのフィニッシュ後に行われたイベントカンファレンスの内容(抜粋)。

●WRCイベント後記者会見 出席者
セバスチャン・オジエ=SO(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
エルフィン・エバンス=EE(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
ティエリー・ヌービル=TN(ヒュンダイ・モータースポーツ)
ヤリ‐マティ・ラトバラ=J-LM(トヨタ・ガズーレーシングWRT、チーム代表)

Q:セブ、モンテカルロ8回目、WRC通算50回目の優勝おめでとう。今の気分は
SO:記念の数字を言ってくれたが、このモンテで勝たなくてはならないという、特別な感情がそうさせている。いつかドライバーになりたいという夢を自分に持たせてくれたラリー。子どもの頃から見てきたし、いつか自分も走るチャンスをつかみたいと夢を見てきた。今回で8度目のトロフィーだが、これを手にする日が来るなんて考えもしなかったし、とても誇らしいよ。

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Q:それにしても、楽なラリーではなかった
SO:マシンのフィーリングはもちろんよかった。でも、木曜日の夜はそうではなかったと思う。テクニカル面でのトラブルがひとつあった。ブレーキだったが、ヤリスでは珍しいトラブルだね。そこからは、本当に完璧だった。それでも少しタイムロスをしたし、金曜日はパンクでタイムもロスしたのはいいものではなかったね。でも、すぐに戦える状態に戻った。こんなにSSタイムで差がつくことはあまりない。プッシュした時にライバルに差がつけられたのはうれしかったし、このようにシーズンを滑り出せたのはいいことだ。

Q:このイベントでのマシンのフィーリングは、2020年と2021年では大きく違ったか
SO:もちろん、このマシンでの経験と言う意味で、今シーズンは意味が大きく違う。マシンの反応や、このようなトリッキーなコンディションで自分がマシンをどうできるか、理解が深まっている。それでも今回は、タイヤについて不明な部分が多かった。ラリー中でさえ、ヒュンダイは古いタイヤを使うなど自分たちよりもクレバーな戦略をとり、自分たちよりもいい内容になった時もあった。シーズンが進むにつれて、自分たちもピレリタイヤに関してもっと知らなくてはならないが、2020年を過ごしたおかげで、今回のラリーに向けてさらにい準備ができた。先週はテストでクラッシュするというハプニングもあったので、今回はスリックタイヤでの経験は10km分くらいしかなかったと思うから、楽ではなかった。でも、なんとかしたよ。

Q:今回のイベントで特別な瞬間は何かあったか
SO:もちろん。今年はファンに会うことはできなかったが、それでもACMとFIAは見事にイベントを成功させた。新型コロナウイルス(COVID-19)の状況の中で、協力してこのラリーの運営を成し遂げた。多くの人々が、スマホや自宅でイベントを見守ってくれていたと思う。このラリーを開催して、いつもどおりWRCシーズンをスタートさせることは重要だった。ファンが観戦に来られるようになることを楽しみにしている。もちろん、ファンに楽しんでもらうため、メーカーが作り上げたマシンを披露するために僕らはラリーをしているのだからね。ワールドラリーカーを入手するのは大変かもしれないが、似たようなロードカーはあるからね。

Q:エルフィン、このラリーではかなりためらいがあったと話していたが、それはなぜか
EE:昨年と比べ、タイヤとうまく噛み合っていなかったこともある。作業をうまく進められなかったし、自分自身、100%の自信がなかった。セブは言うまでもなく、ものすごくいいドライブをしていたし、最終的に圧勝だったと正直思っている。タイムを見るのは悔しかったが、自分もリスクを負うだけの自信を感じられていなかった。おそらく、リスクを負いすぎるべきではないゲームだったのだと思うが、それができる余裕も感じていなかった。今回は、速く走るリスクは高すぎると感じていたが、タイトルを目指したいなら、今後のラリーはそれをしていかなくてはならないことも分かっている。

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Q:セブから学んだことは
EE:チームメイトとして過ごしたここ何年、彼からはたくさん学んでいる。
SO:もう、彼はそれほど学ぶ必要はないと思うけど……。
EE:どうかな。成長の方向としては正しいと思うが、それでも彼は、必要な時にはスピードを一段階上げることができる。だからたぶん、まだ彼から学べることはあるんじゃないかな。

Q:次はアークティックだが、このイベントについてどう思うか
EE:今回は新しいタイヤだったが、アークティック用でも新しいタイヤが出てくる。ここ何年か、スウェーデンはコンディションはそれほど寒くなかったので、アークティックでの課題はある。(ラップランド地方は)よりウインターコンディションになると思うので、そうしたコンディションを新しいタイヤで走るには、マシンに対しても学ばなくてはならない部分が増えるだろう。あそこでいいリザルトを収めるためには、それが鍵となると思う。

Q:ティエリー、新しいコ・ドライバー、マルティン・ウィダグと今回のイベントを迎えたが、どうだったか
TN:コ・ドライバーがいないという奇妙な状況になったのは、一週間とちょっと前だった。どこかの段階で決断しなくてはならなかったが、チームと一緒に、このラリーはマルティンと出ると決めることができた。まったく予想がつかない状況で、マシンの中での準備をすることもなくラリーを迎えた。ここ数年、自分たちはここで速かったしポディウムにも上がっていたが、個人的な期待は、もちろんポディウムに上がることだった。でも、予想よりも難しくなりそうだと現実を突きつけられた。でも、マルティンはよくやってくれたよ。この週末は一切、楽なことはなかった。難しいステージもあったが、いいステージもあった。速さも少し上げられたが、一番やりたかったことは自信をつけることで、今回はそれができた。

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Q:コ・ドライバーにとっては、それほど困難な仕事だったのか
TN:彼はコ・ドライバーとして何度も参戦してきたが、ワールドラリーカーは初めてだったし、ほかのマシンとは格段に速さが違う。グラベルクルーとの作業や、モンテカルロ自体も大きく変わった。ブラックアイスから、スノー、ターマックだけどスリッパリーな場所、表面がツルツルな場所、大雨、水たまりと、コンディションは多彩だった。ビッグチャレンジだったよ。リズムをつかむのが難しく、道も予想できないことがたくさんあったが、僕らは1日ずつよくなっていった。彼の声にも少し苦労した。前のコ・ドライバーとはまったく違うからね。初日は彼の声を聞くのに苦労したが、少しずつ改善して、最終的には十分なリザルトを収めた。1位になりたかったが、ほかのドライバーは自分たちよりも強かったというわけだ。

Q:このコンビは今後も続くのか
TN:そうなると思うよ。少なくとも次のラリーは、マルティンが乗るし、もし自分がお願いすれば、今年、ほかのラリーでも乗ってくれると思う。彼は、常に状況をコントロールしているところが印象的だった。最初のステージの前から、緊張は感じられなかった。最初のステージの前は、たぶん僕の方が緊張していたんじゃないかな! 本当に見事だったし、感謝もしている。

Q:ヤリ‐マティ、チーム代表としての初優勝、どんな気分か
J-ML:ラリーの記者会見に参加するのは、2019年のラリードイツ以来だし、チーム代表として出席するのは気分がまったく違うね。でも、今回はとても楽しかったし、チームがとても強かったことや、ドライバーたちの走りは感動的だった。チーム全体の仕事の仕方にも、とても感心した。セブ、エルフィン、カッレ、タカさん(勝田貴元)、みんな速かった。セブが圧倒的に速かったステージもあり、それが勝利に結びついた。エルフィンはミスなくとても安定していたし、カッレは3位まであと一歩だったが、パンクで逃した。シーズンの滑り出しとして、とてもいいリザルトだし、タカさんが6位でシーズンを滑り出せてよかった。トヨタの4台がトップ6に入ったのだから、これ以上ない成果だよ。

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Q:ドライバーとチーム代表、どちらがいいか
J-ML:ドライバーなら、自分自身が直接、リザルトを出すことができる。チーム代表の場合、WRC All Liveを見ながら、そこに力を加えることはできないから、ドライバーに任せる部分が大きい。

Q:自分のWRC最年少優勝という記録を守るための戦略は
J-ML:すでに話したと思うが、今年は自分の記録が破られると思う。カッレのポテンシャルは本当に高いと感じ始めているので、かなり近い将来、初優勝をマークすると思うよ。
SO:もしかしたら、4週間後とかね……。

Q:チーム・ヤリ‐マティはどんな感じか
J-ML:自分でも分かることは、チーム内の雰囲気がリラックスしていて、緊張感がない時が一番いい。ドライバーたちがリラックスしていて、笑顔でステージに向かっていく。彼らに、あれこれ言う必要はないが、ステージに出た時に気持ちよく、リラックスしていてもらいたい。

Q:セブ、ヤリ‐マティはモチベーションを上げてくれるか
SO:リザルトがすべてを語っているんじゃないかな。ヤリのことは何年も知っているが、いつも変わらないことのひとつは、とても人当たりがいいこと。チーム代表として彼がどんな働きをするのかを判断するのは時期尚早だが、うまくいくと思うよ。
J-ML:ありがとう、セブ。

記者からの質問
ファビオ・マルチ(ムンド・デポルティーボ、スペイン)
Q:セブ、モンテカルロでトヨタが勝ったのは、1998年のカルロス・サインツ以来だ。彼の後に続いた気分は

SO:エル・マタドールは、自分のキャリアで常に大きな影響力を持っていた。ドライバーとして、彼のことはとても称賛している。フォルクスワーゲン時代に彼と一緒に仕事をするチャンスがあったが、マシンの製作にとても力を貸してくれた。それに、彼のモチベーション、今でも貪欲であること、そして今でも競技者であること、今でも精力的であることには、いつも感動している。ダカールでも、とても強いんだからね! カルロスのことは、ものすごくリスペクトしているし、トヨタのモンテ勝利リストで彼の次に続いたことを誇りに思う。

アルノー・ボーバー(ラベニール、ベルギー)
Q:COVID-19の状況でのラリーモンテカルロは、例年とどのように違ったか

SO:それほど違いはない。本当に難しいイベントだから、競技に完全集中していたからね。正しいタイヤを選ぶためにチームやグラベルクルーと相談しなくてはならない情報が常にたくさんあったし、コンディションの動画も観た。忙しい週末だったし、違いはあまり感じなかった。雰囲気はいつもとは少し違ったが、今回参加できて、本当にハッピーだよ。

EE:セブも行ったとおり、忙しい週末だった。でも、自分としては、サービスに着くと、通常はファンが多くてギャップに近づけないものだが、とても静かだったのは残念だった。サービスパークが寂しかったのは残念だったが、ラリーが開催されてシーズンが開幕できたことは喜ぶべきだ。

TN:雰囲気はもちろん違ったが、自分たちは自分たちの仕事をしたし、今回、参加できてうれしかった。ラリーをちゃんとした形で開催するために尽力した主催者やすべての関係者には、感謝しかない。



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