トヨタ、スポーツ制御CVTヴィッツで全日本ラリーJN3クラス2位表彰台を獲得 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

トヨタ、スポーツ制御CVTヴィッツで全日本ラリーJN3クラス2位表彰台を獲得

©TOYOTA

4月8〜9日に佐賀県唐津市で開催された2017年全日本ラリー選手権第2戦「ツール・ド・九州2017 in 唐津 Supported by Sammy」で、TOYOTA GAZOO Racingの大倉聡/豊田耕司組(TGR Vitz CVT)が、JN3クラス2位表彰台を獲得した。

2015年より全日本ラリー選手権への参戦をスタートしたTOYOTA GAZOO Racingは、昨年JN5クラスにTGR Vitz GRMN Turboで参戦。プジョー208 R2やシトロエンDS3 R3-MAXなど、生まれながらのラリー専用マシンたちを相手に、堂々の年間ランキング2位を得る活躍を見せた。そして、今シーズンは車両を「TGR Vitz CVT」に変更。その名前からも分かるとおり、ラリーカーとして一般的なマニュアルトランスミッションではなく、CVT(無段変速機)を搭載するトヨタ・ヴィッツで、JN3クラスに挑む。

搭載されるCVTには「スポーツ制御CVT」と呼ばれる専用チューニングが施され、状況に応じエンジン回転数を最高出力回転数付近にキープ。コーナー進入時には大きなエンジンブレーキ力が、脱出時には高い加速性能が得られるという。スポーツ制御CVTで参戦する目的は、モータースポーツにおけるCVTの可能性を追求し、得られた成果を一般車両の開発にフィードバックすること。チームには今年からCVTエンジニアも帯同し、ドライバーからのフィードバックを得て、現場で制御のチューニングを進める。

TGR Vitz CVTは、ウエットコンディションとなった初日に4度のベストタイムを記録する好走を見せ、クラス2番手につけた。一転、快晴となった2日目もベストタイムを含む安定したペースで走行し、大きなトラブルもなく2位表彰台を獲得。チームにとって今シーズン初となる全日本ラリー参戦で、スポーツ制御CVTのポテンシャルを見せつけた。

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豊岡悟志(チーム監督)
「今回のラリーに関しては、まず完走できたことがなによりの収穫です。しかも、2位表彰台です。今シーズンのために作った新車でしたが、様々なデータを得ることができました。現場で立ち会ったエンジニアとともに、開発の現場にしっかりフィードバックしたいですね。全日本ラリー選手権に参戦して3年目のシーズンとなりますが、チームが能動的に動けるようになったと実感しています。今回の結果を受け、さらにモチベーションが上がってくるはずです」

宮本昌司(チーフメカニック)
「2月末の段階ではまだ色々な課題があり、それを乗り越えないと完走も厳しいと思っていました。ひとつひとつ地道に問題を解決してきましたが、実際に参戦するまでは、その対策が十分なのかどうか、分からない状態でした。ですから、この厳しいラリーを走り切ったことは、本当に大きなステップだと思います。ただ、次の久万高原ラリーはまったく条件の異なるイベントですし、気温も上がってくるでしょう。この後、持ち帰ったデータをしっかりと分析する必要があると思っています」

松井康成(CVT担当エンジニア)
「無事にフィニッシュでき、まずは良かったです。大きなトラブルもありませんでした。CVTでは誰でも気持ち良く速く走ることができる点をアピールしたかったので、同じような感想がドライバーから返ってきたのもうれしかったですね。CVTの制御に関しては、まだドライバーの希望どおりに動いていない面があるなど、新たな発見もたくさんあります。持ち帰ったデータをしっかり解析し、改善を図っていきたいと思います。」

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大倉聡(ドライバー)
「2位で完走できてうれしいです。ベストタイムも獲得できましたし、何よりもしっかりラリーを走り切ったことで、貴重なデータを持ち帰ることができました。CVTのメリットは、やはりステアリング操作に集中できることです。一方でドライバーの意図しないタイミングで変速してしまうことなど、今後の課題も見えてきました。今回の結果をふまえて、次戦の久万高原ラリーも頑張ります」

ツール・ド・九州2017 in 唐津 JN3クラス最終結果
1. 天野 智之/井上 裕紀子(トヨタ・ヴィッツRS) 1:03:31.4
2. 大倉 聡/豊田 耕司(トヨタ・ヴィッツCVT) +1:08.9
3. 加藤 英祐/塩田 卓史(トヨタ・ヴィッツRS) +3:02.6

チームは、デイ1とデイ2のハイライト動画をFacebookで公開している。



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