ラリーレポート:第11戦フランス – RALLYPLUS.NET ラリープラス

ラリーレポート:第11戦フランス

 

前戦オーストラリアにおいて、フォルクスワーゲンがマニュファクチャラーズ選手権を獲得。残る注目はセバスチャン・オジエが大差をつけてリードする、ドライバーズ選手権の行方となった。迎えたイベントは、WRC第11戦ラリー・ド・フランス。昨年同様、オジエは地元イベントで2連覇達成を狙うが、わずかながらも逆転の可能性を残しているチームメイトのヤリ‐マティ・ラトバラは「選手権のことはあまり気にしていない。とにかくターマック初勝利がほしいんだ」と、冷静に語る。
 オープニングステージを制したのは、シェイクダウンでもベストタイムを刻んだラトバラ。ところが、続くSS2でまさかのドラマが待っていた。スタートから3.6km地点でオジエが痛恨のスピン。さらにエンジントラブルが重なり、コース復帰に4分以上を要してしまう。なんとかこのステージを走り切ったオジエだったが、続くSS3のタイムコントロールに4分の早着。このミスでオジエはさらに4分のペナルティを加算され、首位のラトバラから8分26秒1も遅れた63位に沈む。
 デイ1を終えて、首位のラトバラに続く2番手には、SS2で一時トップに立ったアンドレアス・ミケルセン。3位にシトロエンのクリス・ミーク、4位にヒュンダイのダニエル・ソルドが続く。オジエは30位まで順位を戻したが、「トラブルはセンサーの異常だった。その上、タイムカードのチェックまで間違ってしまった……」と、がっくりと肩を落とす。

クビサ、最終日にソルドを逆転

 2日目に入っても、ラトバラの勢いは変わらない。SS8からSS11まで4連続ベストをたたき出し、ミケルセンとの差を20秒以上にまで拡大してみせる。SS12、SS13はトラブル箇所をリペアしたオジエにベストを譲ったものの、この日を締めくくるSS14では再びラトバラがベスト。最終的にミケルセンに対するアドバンテージを、25.6秒として2日目を終えた。3番手は安定したペースを刻んだミークがつけている。
 この日、ステージを湧かせたのは、ソルドとロバート・クビカ(Mスポーツ/フォード)による4位争いだ。6位からスタートしたクビカは、SS9でマッズ・オストベルグ(シトロエン)をパスすると、その後も好タイムを並べ、SS14を終えてソルドとの差は僅か0.9秒。「ショートステージではタイムロスしてしまったけれど、明日はまだ長い。自分の走りに集中するよ」と、クビカはソルド追撃を宣言する。
 最終日、首位ラトバラと2位ミケルセンは大きく差が開いており、無駄なトラブルを避けたいふたりはクルージングを宣言。リスクを避ける慎重な走りを心がけたラトバラは、残された4つのステージを走り切り、シーズン4勝目。自身初のターマック勝利を手にした。2位はミケルセン、3位にミークが入った。ソルドをパスしたクビカだったが、なんと最終パワーステージでコースアウト、リタイアを喫してしまい、最終的にソルドが4位となっている。また、初日のトラブルで大きく遅れたオジエが最終のパワーステージでベストを記録し、貴重な3ポイントを追加した。
「舗装路での勝利のために、僕はずっと努力を続けてきた。ドイツでのミスのこともあったから、すごくナーバスになっていたんだ。そして、選手権の可能性もつなぐことができたよ!」と、ラトバラは勝利を噛み締めるように笑顔で語った。



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