自チームで若手育成に取り組む勝田貴元「すべてのタイミングが合って今だと思った」 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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自チームで若手育成に取り組む勝田貴元「すべてのタイミングが合って今だと思った」

©Jun Uruno

TGR-WRTからWRCに参戦する勝田貴元が、1月10日に自身のチーム『TK Motorsport』の立ち上げを発表した。2024年の全日本ラリー選手権のサブカテゴリーとしてTGRが新設した『MORIZO Challenge Cup』に、2023年のフォーミュラドリフトジャパン(FDJ)チャンピオンでラリー未経験のKANTAをエントリーさせることで注目を集めている。勝田はWRC開幕戦ラリーモンテカルロを2週間後に控えた東京オートサロンで、KANTAとともに新チームの立ち上げに向けての意気込みを語ってくれた。

この『MORIZO Challenge Cup』は、原則25歳以下のドライバーを対象に、全日本ラリーのJN-2規定ベースにカップ独自の制限を設けたイコールコンディションのクルマで戦う、若手育成を目的とした新シリーズ。勝田は、4年ほど前から自分の後に続くドライバーの育成環境を整える活動をイメージしていたという。

今季はエルフィン・エバンスとともに、トヨタのレギュラードライバーとしてWRCに参戦する勝田。世界の舞台でも、トップドライバーのひとりとしての地位を確立しつつあるが「自分が結果を出して有名になって、ドライバーとして食べていけるようになることだけでは意味がないとずっと思っていました」と、チーム立ち上げに至った想いを語る。
「まだ免許を持ってないような子どもたちが“ラリードライバーになりたい、世界を目指したい”と思った時に、道筋や環境を作っておいてあげたいという思いがありました。今季、チャレンジプログラムを卒業してレギュラードライバーとしてチームと契約し、育成で学んだことを次につなげたいと思っていましたし、チャレンジプログラムも自分の後が続いていて、人材を送り込める環境がある。そんな時に、TGRが育成カテゴリーを立ち上げると聞いて、色々なタイミングが合っているなと感じました」

具体的にドライバーを探し始めたのは昨年の夏頃だったという勝田。10月に開催されたFDJの最終戦岡山の予選でのKANTAの走りに衝撃を受けたという。KANTAはここで、スポット参戦したカッレ・ロバンペラを下し、シリーズ争いで逆転チャンピオン獲得を果たしている。
「ひとり、ものすごい走りをしているなと思いました。日曜日のファイナルで、KANTA選手はカッレに勝っているのですが、カッレでもミスをするような難しい状況にうまく対応してキレイな走りを見せていたので、疑う余地はないと感じました。さらに色々と聞いてみれば人柄もよく、知れば知るほど応援したいなと思えたんです」

勝田から絶賛を受けたKANTAは「最初に連絡を受けた時は、ただただビックリしました。それまで、ダートトライアルは何度か参戦経験はありますが、まさかラリーをやる機会が来るとは思っていなかったので」と第一印象の驚きを振り返った。
「もちろん、実際に競技を始めたら色々な壁が出てくると思うので、そこに対する不安はありますが、それ以上に楽しみなところもあります」とKANTAは意欲を見せる。

「自分もWRCがあり頻繁に全日本ラリーの現場に帯同できないので、コ・ドライバーは信頼して任せられる人に頼みたかった」という勝田が全幅の信頼を置くのが、国内外の参戦経験が豊富でビギナーから全日本トップクラスまで幅広いドライバーとのコンビ経験を誇る保井隆宏。すでに勝田、KANTA、保井の3人でペースノート作成のトレーニングを3日間行うなど、準備を始めているという。

ラリーという自身にとって未知の競技に挑むKANTA。
「ひとつずつ壁を越えて、ラリードライバーとして成長していくことを目指しながら、ドリフト出身なので、ドリフトとラリー、お互いの競技にそれぞれ興味を持つ人を増やせるように何かできたらいいなと思っています」と抱負を語ってくれた。

今季の全日本ラリー選手権開幕戦は、3月1日〜3日、愛知県を舞台とする新イベント、Rally三河湾(ターマック)。勝田の現地帯同は自身のWRC参戦活動の合間を縫って可能な限り、となりそうだが、Rally三河湾には現地に出向くことができそうだとのことだ。

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