ラリー参戦のすそ野を広げるFIAの「ラリー5キット」、自国ASNでも公認取得が可能に – RALLYPLUS.NET ラリープラス

ラリー参戦のすそ野を広げるFIAの「ラリー5キット」、自国ASNでも公認取得が可能に

©FIA

FIAは、エントリーレベルのラリーをさらに身近なものにするためのカテゴリー「ラリー5キット」を2024年から導入する。FIAのラリーカーカテゴリーのピラミッドに入門編の受け口を作り、モータースポーツへの参加者を世界的に倍増させるという現在進行中の活動の大きな一歩となることを目指す。ラリー5キットの設定には手頃な価格を重視しており、ラリーがほかのカテゴリーと同様に新規参入者にとって魅力的なものとなるようなルールを提供する必要性を尊重した。

FIAロードスポーツディレクターのアンドリュー・ウィートリーは「ラリー5キットは、草の根レベルのラリー発展の将来にとって極めて重要なカテゴリーであり、世界中のASNがライセンス保持者を増やすための素晴らしいツールとなるものだ」と語る。

ラリー5キット規定に適合した車両には、標準エンジン、1way調整式ダンパー、標準燃料タンク、アンダープロテクション、シーケンシャルギヤボックスのオプションが装備される。重要な点は、FIA技術部門と協力によりラリー5キットの車両は現地レベルでホモロゲーションを取得できること。現地で入手可能な部品や専門知識を活用し、よりコスト効率の高い競技車両を提供できるようになる。

ラリー5キット規定に適合した車両は秋から、スペイン自動車連盟(RFEdA)とスズキ・モーター・イベリカのパートナーシップにより、スペインでテストを行っている。

Real Federación Española de Automovilismo

この新しいカテゴリーについて、ウィートリーはその意図と背景を説明している。


ラリー5キット規定の承認は、世界レベルでラリーに参入しやすい環境作りにつながり、結果としてモータースポーツへの参加を促進する手段として非常に重要なものとなる。この新しい、エキサイティングなカテゴリーの背景にある考え方とは?
「例えば、ルノー・クリオ・ラリー5は素晴らしいマシンとなったが、世界中には販売が広がっておらず、この市場にはほかの選択肢も多くない。我々は、FIAの技術部門と話し合い、ラリー5が持つエントリーレベルのコンセプトを国際的により身近なものにするためにどうすればいいかを検討した。その結果がラリー5キット規定だ」

ラリー5とラリー5キットは何が違うのか。
「ラリー5キット規定は、ラリー5と非常によく似た原則に従っている。すなわち、1.6リットルターボまでまたは2リッターまでの自然吸気エンジンを搭載した2輪駆動車に、限られた範囲の改造を施して、通常の市販車から、競技用車両としてのフィーリングとドライビング・ダイナミクスを相応に備えた車両に変更するというものだ。変更できるエリアはギヤボックスは5速シーケンシャルに変更ができるが、義務ではなく選択できるというもの。FT3燃料タンクは必要はなく、1way調整式ダンパーも選択することができ、現行のラリー5車両に対抗できる競争力を持たせることができる。ジュネーブを拠点とするFIAで公認を受ける代わりに、母国のASNと連携することで承認を取得することも可能だ」

実際にはどのように運用されるのか。
「もし自分が南米、オーストラリアやアジア、ヨーロッパ、どこにいようと、現地でラリー5キットマシンの公認を取得することができ、国際公認車両として世界中の競技に参加することができる。現地の部品と現地の経験を利用することで、現地市場でコスト効率よく機能するマシンを導入することができる。ラリー5キットの主な目標は、競技者に公認車両への道筋を提供し、最終的には一連のワンメイク選手権を世界各地で開催することだ」

コストはどのくらいを見込んでいるのか。
「コンバージョンキットの価格は1万5000~1万8000ユーロ(約235万〜282万円)。つまり、ベース車両を購入し、1万5000~1万8000ユーロで世界のどこでも戦える競技車両が手に入るということだ。ラリー5キットカーが目指すパフォーマンスは、ラリー5と似ている。クルマの重量に対して吸気リストリクターのバランスをとるシステムが採用され、クルマが重ければ吸気リストリクターは大きく、軽ければ吸気リストリクターは小さくなる。その意図は、既存のラリー5マシンのベンチマークに対して、マシン性能のバランスをとれるようにすることだ。これにより、国際格式の地域選手権シリーズを発展させる機会とともに、国内レベルでより多くの機会が生まれるだろう」

ラリー5キットの1号車はいつ公開されるのか。
「ラリー5キットの規定を適用した最初のマシンは、スペインのRFEdAと共同で公認を取得したスズキとなる。2024年の始めから競技を開始する予定で、同様のワンメイク選手権を開発するために、世界中の多くのASNと協力している。こうした選手権は常に好評を博しており、ドライバーの育成にポジティブな形で役立っている。各ASNは、世界的なモータースポーツ参加者の倍増を目指し、ラリー5キットを成功させるために大きな役割を果たすだろう」

R-Technology



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