WRCポルトガル:トヨタは“SUMMER BODY”のGRヤリス・ラリー1で開幕5連勝を狙う – RALLYPLUS.NET ラリープラス
現地速報がすぐわかる! バックナンバーが読み放題。ラリプラLINE限定コンテンツ配信中

WRCポルトガル:トヨタは“SUMMER BODY”のGRヤリス・ラリー1で開幕5連勝を狙う

©TOYOTA

トヨタは、5月15日〜18日にかけてポルトガル北部のマトジニョスを拠点に開催されるWRC第5戦ラリーポルトガル(グラベル)に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン、セバスチャン・オジエ/バンサン・ランデ、勝田貴元/アーロン・ジョンストン、TGR-WRT2からサミ・パヤリ/マルコ・サルミネンと、前戦に引き続き計5台のトヨタGRヤリス・ラリー1をエントリー。開幕から続く5連勝を狙う。チーム監督は3戦連続でユハ・カンクネンが代行する。

またWRC2部門には、16台ものトヨタGRヤリス・ラリー2がエントリー。TGR WRCチャレンジプログラム2期生の山本雄紀と小暮ひかるも参戦。併催のポルトガル選手権でランキングトップに立つクリス・ミークも、GRヤリス・ラリー2で登場する。なおWRC3には、WRCチャレンジプログラム4期生の後藤正太郎と松下拓未もルノー・クリオ・ラリー3で参戦する。

(以下、発表リリース)


WRC 第5戦 ラリー・ポルトガル プレビュー
欧州では今シーズン初となるグラベルラリーに
5台のGR YARIS Rally1で参戦

TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)は、5月15日(木)から18日(日)にかけて、ポルトガル北部で開催される、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第5戦「ラリー・ポルトガル」に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 33号車)、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)に、TGR-WRT2からのエントリーとなるサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)を加えた、合計5台のGR YARIS Rally1で参戦。今シーズン、欧州で行われる最初のグラベル(未舗装路)ラリーで、開幕5連勝を狙います。

2025年のWRCは開幕戦でオジエが、第2、3戦でエバンスが優勝。4月に行なわれたWRC初開催の第4戦ラリー・カナリアスではロバンペラが優勝しTGR-WRTは1-2-3-4フィニッシュと開幕4連勝を達成。4戦のうち3戦でチームが獲得できる最大のポイントを手にし、マニュファクチャラーズ選手権で首位を守り2番手のライバルを51ポイントリードしています。そして迎える第5戦は、第3戦サファリ・ラリー・ケニア以来のグラベルイベントとなる、ラリー・ポルトガルです。初開催は1967年という長い歴史を誇るこのラリーは、今年9月の第11戦ラリー・チリ・ビオビオまで続く、グラベル7連戦の初戦となります。今季は既にサファリでグラベルラリーを経験していますが、アフリカとヨーロッパではステージの特徴に大きな違いがあります。特に今回のポルトガル、第6戦ラリー・イタリア・サルディニア、第7戦アクロポリス・ラリー・ギリシャの3戦は、荒れ気味の路面と高温という共通点があり、クルマ、タイヤ、選手には高い耐久力も求められます。そのうち、ポルトガルは比較的ハイスピードなステージが多く設定されていますが、テクニカルなセクションも含まれます。グラベル路面は全体的に砂が多く軟らかめですが、その下には硬い岩盤があり、石も多く隠れているため、同じステージを1回目と2回目に走る時では路面のコンディションが大きく変わります。また、2回目の走行では深い轍(わだち)が刻まれるセクションも多くあります。

これからしばらく続くサマーシーズンの暑いラリーに向けて、GR YARIS Rally1は夏仕様のクールな新カラーリングを採用しました。ボディはこれまでのブラックから、明るいシルバーへと大きく変わり、ファンに新鮮なイメージを提供するだけでなく、太陽の熱を反射し、各ステージ間ではクルマと選手にクーリング効果をもたらすことも期待されています。

ラリー・ポルトガルはTGR-WRTにとって相性の良いイベントのひとつであり、過去5大会で4勝をあげています。そのうち、現在ドライバー選手権首位のエバンスは2021年に優勝し、エバンスを43ポイント差で追う選手権2番手のロバンペラは2022年と2023年に優勝。そしてオジエは昨年の2024年大会を制し、このラリーでの最多優勝記録を「6」に伸ばしました。勝田も過去このラリーでは何度も表彰台争いに加わり、総合4位を2回獲得。また、パヤリは、このラリーへのRally1車両での出場は今回が初となりますが、昨年はRally2車両のGR Yaris Rally2で出場しています。

ラリーの中心となるサービスパークは、今年もポルトガル北部の大都市ポルト近郊の町「マトジニョス」に置かれ、その南側約120kmに位置する古都「コインブラ」で15日(木)の夕方にセレモニアルスタートが行われます。その後、大西洋に面するリゾート地「フィゲイラ・ダ・フォス」に移動。昨年同様、SS1として2.94kmのスーパーSSが午後7時過ぎから1本行われ、競技がスタートします。本格的なグラベルステージでの戦いは翌日16日(金)のデイ2から始まり、コインブラの東側エリアで「モルターグア」「ロウザン」「ゴーイス」「アルガニル」という4本の定番ステージを各2回走行。その後さらに、SS10「アゲダ/セヴェル」、SS11「セヴェル/アルベルガリア」という、かつて1990年代に使われた2本のステージを走行。デイ2はマトジニョスでのミッドデイサービスが設定されず、アルガニルの町で日中に2回行われる「リモートサービス」での各20分間の整備作業のみで、10本合計146.48kmという、4日間で最長のステージ距離を走りきらなければなりません。17日(土)のデイ3は、サービスパークの東および東北エリアが主舞台となり「ヴィエイラ・ド・ミーニョ」「カベセイラス・デ・バスト」「アマランテ」という4本のステージを、マトジニョスでのミッドデイサービスを挟んで各2回走行。全長22.10km のアマランテは、今年も大会最長のステージとなります。その後、「ロウサダ」のラリークロスサーキットで名物のスーパーSSが行われデイ3は終了。7本のステージの合計距離は122.92kmとなります。最終日、18日(日)のデイ4は「パレーデス」、「フェルゲイラス」、大ジャンプで人気の「ファフェ」の3本のステージを、日中のサービスを受けることなく各2回走行。最終ステージとなるSS24ファフェ2は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスの選手権ポイントが付与される「パワーステージ」に指定されています。ラリーは4日間で24本のSSを走行し、その合計距離は344.50km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1790.65kmとなります。

なお、今回のラリー・ポルトガルには、トータル50台ものRally2車両がエントリー。そのうちGR Yaris Rally2は、過去最多の16台が出場を予定しています。サポート選手権であるWRC2にはオリバー・ソルベルグ(スウェーデン/プリントスポーツ)、ヤン・ソランス(スペイン/テオ・マルティン・モータースポーツ)、ローペ・コルホネン(フィンランド/ラウティオ・モータースポーツ)、カイエタン・カイエタノビッチ(ポーランド/ラリーラブ・テクノロジー)、ゲオルグ・リンナマエ(エストニア/レッドグレイ)、マシュー・フランチェスキ(フランス/AMDモータースポーツ)、アレハンドロ・カチョン(スペイン/トヨタ・スペイン テオ・マルティン・モータースポーツ)、ファビオ・シュワルツ(ドイツ)、TGR WRCチャレンジプログラム2期生の山本雄紀と小暮ひかるがエントリー。新たにマルコとブルーノのブラチア兄弟(ボリビア/デルタ・ラリー)、ラカン・アル-ラシド(サウジアラビア/プリントスポーツ)、アレクサンダー・ヴィジャヌエバ(スペイン/MAPOモータースポーツ)が今大会よりWRC2へのシリーズエントリーを開始します。さらに、WRC2にはエントリーしないものの、かつてのTGR-WRTワークスドライバーであり今季ポルトガル・ラリー選手権で3戦3勝中のクリス・ミーク(イギリス)と、ポルトガル選手権を過去3度制しているリカルド・テオドシオ(ポルトガル)の二人が、スポーツ&ユーが走らせるGR Yaris Rally2のステアリングを握ります。

ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
ラリー・イスラス・カナリアスでの結果はチームにとって素晴らしいものとなり、過酷なグラベルイベント3連戦に臨むにあたって、良いフィーリングを得ることができました。新たにサマーシーズン用のカラーリングでラリーに挑むことは、ファンにとってはよりエキサイティングなことでしょうし、クルマの中が少し涼しくなるので、クルーの快適性も向上するはずです。ポルトガルのステージはドライブを楽しめるものですが、高温でドライなコンディション、特に金曜日のハードな路面ではタイヤマネージメントが鍵となるでしょう。エルフィンは出走順1番手でステージに臨むというチャレンジに直面しますが、それは彼が開幕からいい走りをしてきたからであり、大きな自信が感じられます。カッレはカナリアスで本来の強さを取り戻したので、グラベルでも良いフィーリングをすぐに取り戻すことができるでしょう。セブの情熱は勝つことにあり、過去ポルトガルでは常に戦いの中心にいました。貴元も、これまでポルトガルでは好成績を残してきました。また、サミはカナリアスで予想以上の活躍を見せてくれたので、再び自信を取り戻し、良いタイムをマークしてくれることを期待しています。今回のポルトガルは、私が今年ST185トヨタ・セリカGT-FOURで出場しているFIAヒストリック・ラリー・ヨーロッパ選手権のアンティーブ戦と期間が重複しているため欠席します。昔のラリー・モンテカルロといくつかステージが重なっているアンティーブは楽しみですが、もちろんポルトガルのステージタイムを注意深くフォローするつもりですし、チーム代表代行を務めるユハ・カンクネンの知識が、チームとドライバーにとって大きな助けになることを確信しています。

エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
今シーズンの序盤はいいスタートを切ることができましたが、このラリーからいよいよグラベル連戦に突入します。路面がドライだった場合、チャンピオンシップのリーダーとして出走順一番手で金曜日のステージに臨むことは、チャレンジになるでしょう。最近行ったグラベルテストはウェットコンディションだったので、準備としては理想的だったとは言えませんが、ケニアでのフィーリングは良かったですし、これから挑むグラベル戦がケニアとは異なるものだったとしても、昨年よりも競争力の高いところからスタートできる自信があります。ポルトガルには運転を楽しめる素晴らしいステージがいくつかありますので、楽しむことを目指しつつ、たとえ路面のルースグラベルのクリーニングが問題となったとしても、日曜日まで力強い走りを続け、できるだけ多くのポイントを獲得できるように努めます。

カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
カナリアスでは久々に優勝することができて嬉しかったです。次からグラベルのラリーに戻りますが、ターマックと同じくらい快適に走れるように調整を続けています。グラベルはグリップが少なく非常に滑りやすい上、今年のクルマの重量バランスと新しいタイヤの組み合わせもあるので、引き続き最適なセッティングを探っている状況です。先週のテストではチームと共にこの課題に一生懸命取り組んだので、これからの数戦でポイントを獲得し続けるためにも、コンスタントなペースで走れることを願っています。ポルトガルのステージは本当に素晴らしく、これまで常に運転を楽しむことができていたので、今年も速さを発揮できることを期待しています。

セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)
ラリー・イスラス・カナリアスはチーム全体にとって良いイベントでしたし、自分の結果にも満足しています。次戦は、私にとっては昨年10月のラリー・チリ以来となるグラベルラリーです。去年からはクルマとタイヤが大きく変わりましたし、事前のテストでは厳しい天候条件にも直面しましたが、素晴らしいチームとチームメイトに支えられているので、シーズン序盤の良い流れを継続できることを願っています。ポルトガルは大好きなラリーですし、独特な雰囲気と大勢のファン集うのが特徴です。昨年はこのラリーでついに6勝目を挙げることができて本当に嬉しかったので、同じ結果を再現できたら素晴らしいですね。

勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
前戦は自分とチームにとって非常に良いものでしたし、良いリザルトとフィーリングでラリーを終えることができるのは素晴らしいことです。次は、常に多くのファンと情熱が溢れ、毎年素晴らしい雰囲気を感じることができるポルトガルです。ステージを走るのも楽しいですし、私に合っているように思います。グラベル用タイヤの特性についてはまだ学びの途中なので、ラリーに向けた良いセットアップを見つけるためのテストは重要でしたし、良い準備ができるように努力しました。過去数年間、ポルトガルではポディウムに近づいた経験があるので、今回の目標は各ステージで安定して良いタイムを出し、楽しむことです。

サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)
カナリアスではとても順調にラリーを戦っていましたが、小さなミスでリタイアを喫してしまいました。残念でしたが、これも学びの一部ですし、次のイベントであるポルトガルを楽しみにしています。ポルトガルは走っていて本当に楽しいステージもありますが、過酷なステージもあり、長い一日と高温のため、クルマと選手にとって厳しい条件になり得ます。これまでのラリーとはまた異なる挑戦ですが、自分たちのアプローチを継続するつもりです。ポルトガルではクリーンに戦い、その後に続くサルディニアとギリシャに向けて改善を重ねていきたいと考えています。



RALLY CARS