ドリフト初のFIA公認大会が概要発表、世界選手権化やカテゴリーの細分化も – RALLYPLUS.NET ラリープラス

ドリフト初のFIA公認大会が概要発表、世界選手権化やカテゴリーの細分化も

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ドリフト初のFIA公認イベント「FIAインターコンチネンタル・ドリフティング・カップ(以下、IDC)」のプロモーターを務めるサンプロスは、8月21日に東京・護国寺の境内にて、2017年9月30日〜10月1日に開催予定の同大会の概要発表会を行った。
 
まず、サンプロス代表取締役の齋田功氏が登壇し、ドリフトの歴史や競技内容について紹介。「IDCをF1のモナコGP、WECのルマン、INDYCARのインディ500のように、IDCをモータースポーツの新たな定番イベントとして、国内のみならず世界からもドリフトを見に来る人を集めたい」と意欲を語った。

中長期的な事業戦略についても説明され、FIAドリフト世界選手権シリーズの発足、D1、D2、D3、D4といったカテゴリーの運用、さらに電気自動車などを想定した「Drift E Series」なども検討しているという。また、ドリフト競技によるモータースポーツの普及のほか、ドリフト技術を活用したドライビングスクールの開校や、交通安全の啓蒙といった社会貢献へのアプローチも進めている。ドライビングスクールについては、すでにFIAがフランス北部にスリップ体験などができるエクスペリエンスセンターを設立していることを紹介。交通事故のなかで一定の割合を占めるというスリップ事故の啓蒙といったかたちで、ドリフトを社会貢献に活用する方法なども考えている。

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FIAはすでにこのドリフト競技を紹介する動画を213カ国の自動車連盟に配信しているが、今大会の内容や参加方法などについても、30カ国以上から問い合わせが殺到しているとのこと。「日本以上に世界ではドリフトは非常に人気があるモータースポーツ」と齋田氏も語るように、国内以上に海外で大きな注目を集めている。また、FIAとしてはドリフト競技をゲームなどでクルマに触れている若者にとって参加しやすいモータースポーツのひとつとして、市販車でできる競技として普及させやすいと考えており、今後はD1からD4までのカテゴリー化も目指すとしている。

発表会ではFIA会長のジャン・トッド氏がビデオメッセージで、「ドリフトの人気度やプロ意識は高まっており、FIAが世界最高のドライバーを集めて競い合えるように、国際的なイベントを開催する時がきた」とコメント。ドリフト発祥の地である日本で大会を行うことを決めたという。発表会には、FIAドリフトワーキンググループ代表のプラサアト・アピプンヤ氏も登場し、IDCへの期待とともに、イラン、香港、ロシアでのドリフトチャンピオンたちのビデオメッセージを紹介。さらに、元祖ドリフトドライバーの土屋圭市氏、D1グランプリにも参戦中の現役ドライバーの川畑真人氏、そして、フェアレディZやGT-Rなどを手がけてきた日産自動車 商品企画部 チーフ・プロダクト・スペシャリストの田村宏志氏らも登壇。特に、自らドリフトを広め、競技として育て上げてきた土屋氏は「17年かかりました」とその感激もひとしおといった様子で、IDCへの期待を語った。

なお、日本ではD1GPとドリフトマッスルがJAF公認スピード競技となっており、選手にはJAFモータースポーツライセンスの取得が義務付けられているが、IDCへの参戦にあたっては、各国ASNが発行するFIA国際格式競技に参加可能なライセンスの取得が義務付けられる。また、審査競技という面で気になる審査については、アジア、欧州、アメリカから各1名ずつ選出された3名の審査員に加えて、複数のメンバーが審査委員として配置される。審査方法は最終的にFIAが決定するが、GPSとセンサーにより走行中の速度、角度、角度変化の素早さをリアルタイムに計測し得点化する「DOSS」の使用をFIAに提案しているという。
 
日本発のモータースポーツとして世界中で人気の「ドリフト」が、どのように発展していくのか、今後の展開に注目だ。



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