ペター・ソルベルグのNEVER GIVE UP! 「感激の親子参戦!」 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

ペター・ソルベルグのNEVER GIVE UP! 「感激の親子参戦!」

 

ペター・ソルベルグのNEVER GIVE UP! 「感激の親子参戦!」

自分にとって、モータースポーツの中での一番大切な経験のひとつは、まだ若くて未熟だった頃に、ラリー車でコリン・マクレー、トミ・マキネンの隣に座ったことだ。

ラリー界で世界トップレベルの活躍をするドライバーの走りを見て感じることで、自分がトップに登りつめるまで、どれほどほど遠いかを思い知らされた。それを達成するために、僕はがむしゃらにがんばったし1秒だって悔やんだことはない。他のマシンで誰かの隣に乗るのは嫌いだけどね。

1年以上も前から、13歳になる僕の息子、オリバーから、僕のラリーカーで僕のコ・ドライバーをやらせてくれとせがまれていた。スウェーデンのローカルウィンターラリー、フィンスコグスバルセンで、オリバーの願いに応えることができた。僕が所有するヒストリックカー、フォード・エスコートMkIIで、父と息子、2人で過ごした2日間は、2人にとって素晴らしい経験になったんだ!



僕が生まれて初めてクルマを運転したのは、たった6歳の時。もちろん、法律では認められていないけど、1970年代の終わりにスパイデベルグにある家の裏を走っていたんだから、今とは時代が違う。オリバーは小さい頃にカートを始めて、物心がついたころからクルマを運転していた。2014年にはクロスカートで9勝をマーク、3つのタイトルを獲得した。彼の夢は、ラリーとラリークロスのドライバーになって、僕に勝つことなんだ! それを達成するための秘策のひとつが、僕のドライビングを見て感じて、経験することってわけだ。

ラリーでコ・ドライバーをすることがとてつもなく過酷な仕事だってことは想像がつく。全体を把握して、時間を管理して、リズムをつかんで、自信と意欲を持ちながらも慎重で正確に、そして集中していなくてはならない。コ・ドライバーは僕に、この先の道がどんな形状かを伝え、速さやラインを見定めなくてはならない。これは、僕がステージの1m、1mで専念しなくてはならないことと同じ。コ・ドライバーは、ドライバーのもうひとつの目なんだ。本当にスキルのあるコ・ドライバーだけが、トップレベルで最高のドライバーを勝利に導くことができる。僕も、世界屈指のコ・ドライバーと組んできた。フィル・ミルズ、カト・メンケルド、クリス・パターソンのようにね。

オリバーは、マシンの中でノートを読んだことは一度もなかった。4ヶ月前に、スウェーデンの規定でラリーのコ・ドライバーをする許可が下りる年齢になったばかり。彼がどのようにこの役目を務め上げるのか、すごくワクワクしたよ。リザルトは気にしない。自分たちが楽しんで、一緒に参戦することを楽しんで、自分たちが満足できればそれでいい、ということにしていた。

準備としてオリバーに必要だったのは、スタート前にママであるパニラから簡単な説明を受けることだけだった。 クロスカートに乗っている間に、集中を高めて専念することは身に付けていた。とても重要なスキルだ。

最初のステージでスタートラインから走り出すと、オリバーはアグレッシブにノートを読んだ。

と思ったら、すぐに聞いてきた。
「パパ、どう? これでいいの?」

真っ白な雪道でフルドリフトをするための正しいペースノートなんて、あるわけない。それに次のコーナーはすぐ数メートル先に迫っている。

「大丈夫、上手だよ。とにかくノートを読んで!」僕は答えた。

このステージはまずまずのタイムでフィニッシュした。オリバーはとてもうれしそうに誇らしげだった。僕も同じくらい誇らしかった。僕たちはマシンの中で素晴らしい時間を共に過ごした。オリバーがこの週末に学んだことは、とても貴重なものになる。僕たちの連携はステージを重ねるごとにうまくなって、スノー&アイスの130km長のラリーを終わる頃には、上位につける2台との差をかなり詰めることができた。最終ステージではクラスベストのタイムをマーク。これは、総合のセカンドベストともわずか8秒差だった。フィンスコグスバルセンでクラストップ3、総合でトップ10という目標も、見事に達成したんだよ!

子どもと一緒に時間を過ごすのは最高だ。それぞれに忙しい生活を送っている中でとても思い出に残る経験になったし、親子の関係にも新しい側面が生まれた。去年の夏、オリバーと僕は、モーターホームでスウェーデンをドライブ旅行した。郊外の道を楽しみながら、それぞれの仲間とも盛り上がった。ATVやスノーモービル、氷上走行にもよく出かけるし、釣りなどのアウトドア活動で一緒に過ごしたりもしている。

今年は、ラリークロスで世界タイトル防衛を目指す一方で、オリバーもクロスカートで北欧、スウェーデン、ノルウェーの3つのタイトル防衛に挑む。

今は、それぞれ違う競技を満喫していく。でも、5、6年後には、同じトロフィーを一緒に狙っているかもしれないね。



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